半坪ビオトープの日記

木曽駒ケ岳、八丁坂

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木曽駒ケ岳のロープウェイ

奥飛騨から安曇野のわさび農場などを見物しながら木曽谷に入り、駒ヶ根早太郎温泉に泊まって木曽駒ケ岳を目指した。中央アルプスの主峰、木曽駒ケ岳のロープウェイは、昭和42年、しらび平駅(1,662m)から宝剣岳直下の千畳敷駅(2,612m)まで架けられた日本初の山岳ロープウェイである。標高差950mを7分30秒で駆け上がる空中散歩は、次から次に現れる連滝を見下ろしながら進む。背後の東方面には南アルプスの山並みが見える。

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千畳敷

千畳敷駅は、日本最高所駅である。駅は宝剣岳2,931m)の手前、千畳敷カールを見下ろす位置にあり、左手にはサギダルノ頭(2,858m)が構えている。

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駒ヶ岳神社

千畳敷駅の裏手から千畳敷カールを一周する遊歩道が始まり、すぐ駒ヶ岳神社にぶつかり右に折れて行く。

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サギダルノ頭から宝剣岳への稜線

サギダルノ頭から宝剣岳へ連なる稜線は、急峻な岩峰が続いているので、初心者は恐怖心に駆られる。

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八丁坂

遊歩道は千畳敷カールを右下に進み、宝剣岳の右手のガレ場の斜面、いわゆる八丁坂の末端で登山道と合流する。そこまでは楽々と気分良く進めそうだ。

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八丁坂と乗越浄土

だがジグザグの八丁坂をよく見ると、鞍部の乗越浄土まで登り切ることができるか不安になる。数年前に遊び仲間たちと登ったときは、乗越浄土からさらに先の中岳や木曽駒ケ岳山頂まで歩けたが、足腰がすっかり弱った今回は乗越浄土が目的地である。

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シナノキンバイ

遊歩道を歩き始めると、すぐにも可憐なシナノキンバイに出会う。キンポウゲ科キンバイソウ属のシナノキンバイTrollius japonicus)は、北海道及び中部以北の高山帯の湿った草原に生える多年草で、お花畑を代表する高山植物である。パラボラ形の花は直径3〜4cmの鮮やかな黄色で、5〜7個の萼片が花弁のように見える。2016年に新学名Trollius shinanennsisが提唱されているが、どちらが定着するかわからない。

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ジグザグの八丁坂

いよいよ登山道に近づくと、ジグザグの八丁坂にはたくさんの登山者が見受けられが、ガレ場の上の方では米粒より小さくなって見定めることができない。

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八丁坂の左右の岩峰

八丁坂の左右には、今にも崩れてきそうに見える巨大な岩峰が迫っていて迫力がある。左手の宝剣岳もさることながら、右手の岩峰からも八丁坂に落石があったらひとたまりもないだろう。

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ロープウェイの千畳敷

八丁坂は休み休みゆっくり登るに限る。振り返ると遊歩道の先にロープウェイの千畳敷駅が見えるが、霧も発生して上がってくるようだ。

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乗越浄土

ガレ場の登山道の周りには色とりどりの高山植物が咲いているが、写真は帰りにゆっくり撮ることにして先に進む。ジグザグの登山道はいつまでも続いて、なかなか乗越浄土に近づかない。見上げるたびにため息が出るが、天気がいいのでもう少しの辛抱だ。

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チシマギキョウとウサギギク

乗越浄土に近づいた時、目の前に青紫色が鮮やかなチシマギキョウが現れた。キキョウ科ホタルブクロ属のチシマギキョウCampanula chamissonis)は、北海道及び中部以北の高山帯の岩場や砂礫地に生える多年草で、アジア北東部及び北アメリカにも分布する。4cmほどの花の縁には白い毛が生えていて、よく似た近縁種のイワギキョウと区別できる。左手の黄色い花は、キク科ウサギギク属のウサギギク(Arnica unalascensis var.tschonoskyi)である。北海道及び中部以北の亜高山帯から高山帯の草原に生える多年草で、千島列島やアリューシャン列島にも分布する。一本の茎は直立し、分枝しない。和名は葉の形がウサギの耳に似ることに由来する。