半坪ビオトープの日記

ウンブキ、里久浜海岸

 

ウンブキ

徳之島空港のすぐ南、海岸から400mほど離れた洞窟は、ウンブキという海中鍾乳洞の入口になっている。

ウンブキの入口
道路脇からソテツなどが茂る入口の階段を下ると、干満の影響で水位が変化し海水と地下水が混じり合うアンキアライン(汽水域)を形成する洞窟を見ることができる。

ウンブキ
ウンブキは地元の方言で、「海の崖」を意味する。「浅間湾屋洞穴」の呼称もある。海底鍾乳洞は、かつて珊瑚礁が地上に隆起して鍾乳洞が造られた後、再び海に沈んでできたとされる。

ウンブキ
2011年に地元在住の自然写真家が、このウンブキで日本初記録のイワアナゴ属の魚を発見し、その後「ウンブキアナゴ」と命名された。

日本最大の海底鍾乳洞
20189月から、著名な水中探検家・広部俊明氏が調査を開始し、翌年3月の第4回までに、直線で約700m、総延長にして1km以上を確認、自身が発見し日本最大とされていた沖縄県の「広部ガマ」を超え、「日本最大の海底鍾乳洞」と発表した。しかし、海底にあるはずの洞窟の開口部は未だ見つかっていない。

ウンブキから土器を発見
広部氏は、ウンブキ入り口から約70m奥、水深2530mで、土器を発見した。調査の結果、天城町の「下原洞穴遺跡」出土の「波状条線文土器」と口縁部の紋様などの特徴が類似で、1万1700年〜7400年前の縄文時代相当期に制作されたと考えられるという。

ウンブキの生物
洞窟内ではウンブキアナゴのほか、イワアナゴ属の一種、カワアナゴ属の一種、リュウグウモエビ属の一種など珍しい生物が生息している。これからまだ、今まで未発見の生物がいる可能性が高く、今後の調査が期待されている。

洞穴の周り
洞穴の周りにはガジュマル、ハマイヌビワ、シマグワ、クスノハガシワ、アカテツなどの植物が生育し、アカヒゲ、アマミシジュウカラ、アマミヒヨドリなどの鳥類も訪れる。

里久浜海岸と宮城(ミヤグスク)

天城町の中心部から東に向かって徳之島町花徳(けどく)の里久浜海岸に出る。左手にはすり鉢を逆様にしたような形の宮城(ミヤグスク、通称:スリバチ山)が見える。この宮城は按司世(あじゆ)時代、花徳按司(けどくあんじ)の居城があったところだと伝えられている。

里久浜海岸
徳之島の中でも特に見晴らしの良い海岸で、晴れた日には遠く加計呂麻島奄美大島が見渡せるという。珊瑚礁が少なく比較的波が高いのでサーフィンに最適な場所とされる。

里久浜海岸
珊瑚礁に囲まれたビーチの多い徳之島では珍しく、サラサラの白い砂浜が続く海岸である。水の透明度が高く、冬場でも水温が高いので、一年を通じてダイビングやシュノーケリングを楽しむことができる。コブシメやウミガメにも出会えるという。

グンバイヒルガオ
この里久浜海岸には、軍配に似た葉が目立つ、ヒルガオ科サツマイモ属のグンバイヒルガオIpomoea pes-caprae)の群落が広がっている。世界中の熱帯から亜熱帯の海岸に広く分布する。日本では鹿児島県から沖縄県の海岸と大分県佐伯市の元猿海岸に生育する。それ以北の日本には分布しない。薄赤紫色の花が美しいが、ハマヒルガオと異なりサツマイモ属に含まれるため、アリモドキゾウムシの宿主植物となるので、日本本土への持ち込みは国内間であっても検疫によって禁止されている。

ハマヒルガオ
グンバイヒルガオの間に紛れて、葉が小さいハート型の、ヒルガオヒルガオ属のハマヒルガオCalystegia soldanella)の花が咲いていた。グンバイヒルガオと同じく匍匐性の多年生草本。日本では北海道から南西諸島までの海岸や湖岸に広く分布し、アジア、ヨーロッパ、太平洋の海岸にまで広く分布する。花は5〜6月に咲き、淡紅色で白い筋が入る。葉の形は先が丸いハート型で、基部は凹んでいる。

シロバナグンバイヒルガオ
こちらの白い花は、シロバナハマヒルガオCalystegia soldanella f.albiflora)だろうか。ハマヒルガオのシロバナ種で、日本全土の海岸の砂地に生育するが、ハマヒルガオより個体数が少ない。花期は5〜6月。しかし、葉の形がハマヒルガオやシロバナハマヒルガオのようにハート型ではなく、小さい軍配型に近いので、グンバイヒルガオのシロバナ種かもしれない。色々と調べてみると、台湾の吉貝島で見かけたという花がそっくりだった。シロバナグンバイヒルガオと銘うっている。すると学名は(Ipomoea pes-caprae f. albiflora)となるのだろう。葉の形もグンバイヒルガオの葉をかなり小さくした形で、小さい軍配型に近い。しかし、シロバナグンバイヒルガオで検索すると、台湾の吉貝島以外に例はない。ところが、シロバナグンバイヒルガオの学名(Ipomoea pes-caprae f. albiflora)で検索すると、海外で1974年にB.C.Stone氏が登録しているようだ。しかし、写真が見つからないので葉の形が確認できない。ここでは期待も込めて、とりあえず、シロバナグンバイヒルガオとしておく。