半坪ビオトープの日記


八幡平頂上直下にある藤七温泉の近くに蓬莱境がある。オオシラビソやコメツガの鬱蒼とした原生林の中に奇岩・怪石が連続し、迷宮のような自然の大庭園というので訪れたが、湿気が多く視界が悪いのであまり楽しめなかった。
こうした高山の林下でよく見かけるのがこの小さなゴゼンタチバナ(御前橘、Chamaepericlymenum canadense) である。数枚の葉の真ん中に咲く白い小花が印象的である。4枚の花弁に見えるのは実は総苞片で、本物の花は雄しべのように見える。

木漏れ日が当たるところにミヤマコウゾリナ(Hieracium japonicum) が咲いていた。ヒエラキウム属の花はヨーロッパアルプスに多くの種が見かけられるが、これは日本固有種である。

この白い花は、シロバナニガナ(Ixeris dentata var. albiflora) といい、ニガナの変種の多年草である。ニガナより花も草丈も少し大きく、小花は7〜11個ある。

黄色の花は、ハナニガナ(I. d. v. albiflora form. amplifolia) といい、シロバナニガナの1品種で、同じく日本全国の山野に広く自生している。

苔むした原生林の株元に銀白色のギンリョウソウ(銀竜草、Monotropastrum globosum) が物静かに咲いていた。湿り気のある腐食土の上に生えるイチヤクソウ科の腐食植物で葉緑素がない。それほど珍しい花ではなく、日本全国のほかサハリン、中国、ヒマラヤなどにも分布し、英語では Indian Pipe とか Waxflower という。
蓬莱境のあと、東北最高所の藤七温泉でひと風呂浴びて帰路についた。