半坪ビオトープの日記


中岳に登り始めると登山道の左脇にコマクサの群落があった。宝剣岳の右手に見える三ノ沢岳(2846m)も大きくその山容をあらわしてきた。

高山植物の女王と呼ばれるケシ科コマクサ属のコマクサ(Dicentra peregrina)は、北海道と中部以北の高山帯の砂礫地に生える多年草で、高さは10cmほどになる。ほかの草がほとんど育たないような荒れた砂礫地にぽつぽつと生えるものなので、群落といってもバラバラに離れている。

こちらの黄色い花は、バラ科キジムシロ属のミヤマキンバイ(Potentilla matumurae)である。北海道と中部以北の高山帯の砂礫地や草地、雪田の周辺に生える多年草で、高さは15cmほどになる。葉は3出複葉で、粗い鋸歯があり毛も密生する。数個つく花は、鮮黄色で直径2cm、5個ある花弁は先がわずかにへこみ、中心部はオレンジ色になる。

この白くて小さい花は、ナデシコ科タカネツメクサ属のタカネツメクサ(Minuartia arctica var. hondoensis)である。中部地方の高山帯の乾いた砂礫地や岩場に生える多年草で、高さは5cmほどになり、よく分枝してマット状になる。直径1cmほどの白い花の中心部は黄緑色になり、5個の花弁の先に細かい鋸歯がある。日本固有種である。

こちらの小さな花は、ツツジ科スノキ属のコケモモ(Vaccinium vitis-ideaea var. minus)である。北海道、中部以北、四国の亜高山帯〜高山帯の林下に生える常緑小低木で、高さは5〜15cmになる。葉は革質で互生し、楕円形で光沢がある。白い花は枝先に3〜8個つき、下向きに咲く。花冠は約6mmの鐘形で浅く4裂する。液果は赤く熟し、甘酸っぱく、生食したり、果実酒やジャムにする。

こちらの小さな花は、ツガザクラ属のアオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)である。北海道と中部以北の高山帯の草地や岩礫地に生える常緑小低木で、高さは10〜30cmになる。日本の代表的な高山植物であり、よく雪田の周りにカーペット状の群落をつくる。革質の葉は密に互生し、幅1〜2mmの線形で長さは1cmほどになる。花は下向きに4〜7個つき、直径8mmほどの帯緑黄白色の花冠は、口がしぼられた壺形である。日本のほか千島、カムチャッカ、アラスカまで北太平洋に広く分布する。