半坪ビオトープの日記

レンゲツツジ、コマクサ


イワカガミと一緒に白いミツバオウレン(Coptis trifolia)の花が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の針葉樹林の林内、林縁などに生える常緑の多年草で、小葉は3裂し、鋭い重鋸歯がある。5枚の白い萼片は花弁状で、本来の花弁は黄色い高杯状で極めて小さい。

登山道の廻りには、レンゲツツジ(Rhododendron japonicum)が群生している。北海道から九州までの高原に多く、高さは1m〜2mになる。前年の枝先の短い総状花序に朱橙色の花を2〜8個咲かせる。群生地の景観は見事である。

イワカガミの右手前に、コケモモ(Vaccinium vitis-idaea)の小さな花を見つけた。北海道から九州の高山帯に自生する常緑小低木で、高さは10〜15cmになる。葉は密に互生し、長楕円形または倒卵形で、光沢がある。枝先に短い総状花序を出し、紅色を帯びた白色の花を3〜8個下向きに開く。液果は紅色に熟し、甘酸っぱいが生食やジャムにする。

こちらの緑色の花が咲いているように見えるのは、ショウジョウバカマ(Heloniopsis orientalis)である。北海道から九州までのやや湿った場所に生える多年草。垂直分布が広く、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生えている。花色は、淡紅色、紫色、白色と変化に富む。このように花被は花が終わった後(夏)もそのまま残り、色褪せて緑の花が咲いてるように見える。

登り始めて5分程で、コマクサとシラネアオイの案内があり、シラネアオイの群落は5分とのことなので寄ることにして左に折れた。するとすぐコマクサ(Dicentra peregrina)の群落があった。高山帯の砂礫地に分布するのだが、ここも砂礫地ではあるが強風の吹きすさぶ山頂近くの荒地ではないので不自然さが漂う。地元のボランティアが丹誠込めて植えたものというが、厳しい環境の中で生き残ってきた高山植物のことを考えると、安易に植え付けることは自然に対する不遜な行為としか思えない。絶滅に瀕している生息地でロープを張るなどして保護するのなら別だが、観光客目当ての植栽としか思えず残念なことである。

やや開けたところに、リンゴ属のズミ(Malus sieboldii)の花が咲いている。日本全国の山野に生える落葉小高木で、高さは10mほどになる。ズミ(酸実、桷)とは、染料となることから染み(そみ)、あるいは実が酸っぱいことから酢実が語源といわれる。カイドウ、リンゴ、ナシに似るため、ヒメカイドウ、コリンゴ、コナシとも呼ばれる。

まもなく眼下に野反湖が見えてきた。まだ雪が残っているくぼ地もある。その左上に見える山は、エビ山(1744m)であろう。