半坪ビオトープの日記


アセビ属のアセビ(Pieris japonica)は有毒植物で、食べると吐き気、下痢、昏迷が起こり、多量だと呼吸麻痺によって死亡するという。
名の由来は、「あししびれ」が短縮されて「あしび」「アセビ」との解釈が一般的だが、諸説ある。実るのが遅く秋になってからはぜるので、「はぜ実」「はせび」の変化の前川説や、毒のあるシキミと同じく、「悪しき実」「アシミ」「アシビ」の変化の説もある。長崎では「シシ(鹿)クワズ」といい、馬だけでなく動物は食べない。
清楚な趣が古くから庶民に愛され、万葉集には十首も詠まれていて、有名な大伯皇女(おおくのひめみこ)のほか詠み人知らずの歌も多い。
磯のうへに生ふる馬酔木を手折らめど見すべき君がありと言はなくに(巻二166 大伯皇女)
わが背子にわが戀ふらくは奥山の馬酔木の花の今盛りなり(巻十1903)
おし照る 難波を過ぎて うちなびく 草香の山を 夕暮に わが越え来れば 
山も狭(せ)に 咲ける馬酔木の にくからぬ 君をいつしか 往きてはや見む(巻八1428)
この歌には「身分がいやしいので名を記さない」と書かれている。 
下の赤い花は、アケボノアセビ(P. f. rosea) という。