橋を渡ったところにリンドウの花が咲いていた。姿がよく似ているリンドウ、エゾリンドウ、オヤマリンドウの3種は日本特産種で、それぞれ関東以西、近畿以北、中部地方以北が自生地なのだが、欅平は標高約600mなので、この花は低山にも咲くリンドウ(Gentiana scabra var. buergeri)と思われる。
こちらのいわゆる野菊は、ヨメナ属のヨメナに似ているが、シオン属のノコンギク(Aster ageratoides var. ovatus)であろう。野菊はどの花も葉もよく似ていて、花を分解したり、葉がざらついているかを調べないと確定し難いので、いつも悩む。ノコンギクは、本州、四国、九州の野山に普通に生える多年草で、葉の両面に毛がありザラザラしている。
右側の渓谷に対し、左側は岩山で水気が多く、苔の間から白い花がいくつも咲いている。ユキノシタ属のダイモンジソウ(Saxifraga fortunei var. incisolobata)という多年草である。和名は花が「大」の字に似ることによる。日本各地の山地帯から高山帯に広く分布し、葉の形や切れ込みの度合いなど変異の幅が広い。