欅平駅にはビジターセンターがある。黒部峡谷の誕生や歴史、地質、動植物など映像や写真により紹介している。黒部峡谷の黒部川を黒部ダムまで遡る「下の廊下」には、S字峡、十字峡という険しい絶壁があり、ベテランの上級登山者でも超難関の登山ルートがある。
帰りのトロッコ電車も、黒部峡谷の様子を名残惜しくじっくり眺めつつ宇奈月へ戻った。宇奈月ダムを過ぎて新山彦橋が見えると、宇奈月の町が見えてくる。
宇奈月の食堂で最後の食事をとったが、宇奈月ビールは好評なのか売り切れだった。土産物を買いながら湯の町を散策した後、やまびこ遊歩道に向かうと、トロッコ広場ややまびこ展望台があり、トロッコの模型が設置してある記念撮影場所もあった。
階段を上がって遊歩道を進むと、黒部川に架かる旧山彦橋が見える。その左手の小さな橋は道路橋である。
この旧山彦橋は、今は遊歩道となって歩いて渡れ、トロッコ電車を間近に見ることができる。
橋には時刻表も貼ってあり、黒部川を渡るトロッコ電車を真横から狙い撃ちで撮れる。
橋を渡りきると遊歩道もトンネルに入る。冬季歩道を真似たトンネルだが、天井はかなり高く造ってある。
トンネルを出ると宇奈月ダム展望台に着く。遊歩道はダムまで続くが、ここで折り返す。宇奈月ダムは、多目的ダムとして黒部川水系で初めての、そして唯一のダムである。展示施設もあり、一般公開されている。近くには黒部川とトロッコ電車を眺められる、日帰り温泉の「とちの湯」も開設されている。
山彦遊歩道入口近くに宇奈月神社がある。祭神は天照大神、大山津見神、大山久比神、軻遇突智神、水波象女神、誉田別命の六神。大正時代に黒部の電源開発に伴い宇奈月温泉が開湯し、発電関係会社の協力のもと昭和2年に創立された。ちなみに大山久比神とは、記紀にみえる農耕・治水の神であり、軻遇突智(カグツチ)神とは火の神であり、水波象女神(ミヅハノメノカミ)とは水の神である。
宇奈月神社の隣には、セレネ美術館がある。平山郁夫、塩出英雄、福井爽人など黒部峡谷の風景を描いた7人の日本画家の作品が常設展示されている。撮影は不可だが、宇奈月町出身でフランス在住の洋画家・戸出喜信が描いた大作「黒部川」だけが撮影可であった。他に黒部川電気記念館で、黒部川電源開発の歴史を追体験して、10月中旬の黒部立山アルペンルートと宇奈月・黒部峡谷を巡る旅を終えた。