半坪ビオトープの日記

欅平駅へ


そろそろトロッコ電車も終点の欅平駅に近づくが、その前に右手に小屋平ダムが見える。黒部川第二発電所とともに、建築家・山口文象がデザインした施設として知られ、建築史上で重要な現役の近代土木遺産といわれる。ここで取水した水は第二発電所に送られる。

黒部川の速い流れが眼下に見え隠れするが、この先に猿飛峡がある。黒部川本流で川幅が最も狭く、特別名勝特別天然記念物に指定されている絶景で、ぜひとも見学しようと意気込んできたが、この数日の雨で遊歩道が通行禁止となったため、欅平駅から歩いていくことはできなかった。

ようやく黒部峡谷ロッコ電車の終点・欅平駅に着いた。標高599m、ホームは非常に長く2本の列車が同時に停車できる。旅客の営業は終着駅だが、関西電力黒部専用鉄道として、軌道はさらに黒部川第四発電所前まで伸びている。

欅平駅舎の1階には出札口や売店があり、2階にはレストラン、屋上には展望台がある。
駅前には欅平ビジターセンターがこの夏にリニューアルオープンした。写真や映像で黒部峡谷の魅力を紹介している。

センター前から黒部川を眺めると、緑濃い峡谷の間をくねりながら勢いよく流れ下っていくのが見える。

猿飛峡遊歩道は通行禁止なのであきらめ、その代わりに河原展望台と足湯を見に長い階段を下っていくと、苔むした岩肌に奇妙な植物が見つかった。これは、腐生植物のギンリョウソウ(Monotropastrum globosum)の花後の姿である。ギンリョウソウは、葉緑素がなく根以外白色だが、鱗片葉に包まれ竜の姿に例えられる。花後、鱗片葉が落ちて白くて丸い果実の姿になる。この後、果実は黒く変色する。

河原展望台からは、黒部川の迫力満点の清流が間近に感じとれる。

展望台には屋根付の足湯があり、渓流を見ながらのんびりつかることができる。

足湯の先には右の黒部川本流に合流する祖母谷川が左手に見える。滝の上流にこれから行く名剣温泉や祖母谷温泉がある。