半坪ビオトープの日記

黒薙温泉

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黒薙温泉、大露天風呂

黒薙温泉は、黒部峡谷最古の露天風呂で、源泉は毎分2,000リットルの湧出量を誇り、宇奈月温泉の源泉でもある。黒薙川沿いの混浴大露天風呂は、広さ28畳敷相当あり、女性専用時間も設けられている。

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天女の湯

旅館下流側にある「天女の湯」は女性専用だが、一部男性専用時間も設けられている。高台の露天風呂から吊り橋と峡谷を湯煙とともに眺められる。

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宇奈月ビール

木造二階建ての旅館は、毎年4月下旬から11月下旬までの営業で、冬季は閉館となる。黒部峡谷の秘境で飲む酒は感無量である。立山の雪解け水が流れ込む黒部川の名水と黒部産二条麦を使用して、地元黒部市で作られる「宇奈月ビール」は、濾過で酵母の量を調節して残し、ビール本来の美味しさを追求している。3種類あり、「十字峡」は、ドイツ・ケルン地方に伝わる泡色麦芽を使用したケルシュスタイルのビール。「カモシカ」は、ドイツ・ババリア地方で作られるラガービールで、ロースト麦芽の香ばしい風味が口当たり良い。「トロッコ」は、ドイツ・デュッセルドルフのアルトスタイルのビール。カラメル麦芽の香ばしさが特徴の美しい琥珀色のビールである。

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クサボタン

花弁が反り返っているような風変わりな形の花を咲かせているのは、キンポウゲ科センニンソウ属のクサボタン(Clematis stans)。普通、茎は直立し高さ1mになり、冬には茎の基部が木質化するため、半低木とされる。北海道西南部から本州の山地の林縁や草原に自生する日本固有種で、有毒植物である。淡紫色の花の花弁に見えるのは萼片で、花弁はない。

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ノコンギク

こちらのいわゆる野菊は、ヨメナ属のヨメナに似ているが、シオン属のノコンギクAster ageratoides var. ovatus)であろう。野菊はどの花も葉もよく似ていて、花を分解したり、葉がざらついているかを調べないと確定し難いので、いつも悩む。ノコンギクは、本州、四国、九州の野山に普通に生える多年草で、葉の両面に毛がありザラザラしている。

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ヤマハッカ

こちらの青紫色の花は、シソ科ヤマハッカ属のヤマハッカ(Isodon inflexus)という多年草。日本を含む東アジアに広く分布し、山地の林縁や草原に自生する。花冠は4裂し、濃青紫色の斑点が目立つ。

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リュウノウギク

こちらの白い菊は、日本固有種のリュウノウギク(Chrysanthemum japonicum)。福島県新潟県以南の本州、四国、九州の山地や丘陵に自生する多年草。和名の竜脳菊は、茎や葉の香りが、中国から伝わった竜脳(リュウノウジュから採れる精油)という香料に似ていることに由来するが、実際には樟脳の香りに近い。葉は卵形で中3裂し、裏面は灰白色を帯びる。花期は1011月。茎の先端につく白い花は1〜2個。舌状花の先端がこの花のように稀に切れ込む(歯)。

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アキギリ

こちらの赤紫色の花は、シソ科アキギリ属のアキギリ(Salvia glabrescens)という。本州中部地方から近畿地方の主に日本海側の山地に生える多年草である。アキギリ属の学名はSalviaで、観賞用のサルビア、薬や香辛料のセージと同じ属に含まれ、世界に約900種が知られる。

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薬師堂

黒薙温泉の入り口手前に薬師堂が建っている。堂内に安置されている薬師如来像は、行基菩薩が彫ったとの言い伝えがあるという。略縁起によると、音沢村の太郎左衛門が所蔵していた薬師如来像を連れて、仏のお告げに従いこの山奥の黒薙にたどり着くと、霊泉が湧き出ていたという。

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トンネル跡

帰りもまずは石段を登るところから始まる。その登り口に小さなトンネル跡があった。黒薙駅から黒薙第二発電所方面に伸びる線路に結ばれていた黒薙支線で、昔は黒薙温泉に荷物を運んでいたという。以前は駅員に許可を得れば通行できたそうだが、今は保安上の問題から通行止めになっていて、扉が閉められている。

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ツルアリドオシの実

石段を登りきると平坦な道になる。山道の足元に小さな赤い実を見つけた。アカネ科ツルアリドオシ属のツルアリドオシ(Mitchella undulata)という常緑つる性の多年草。和名は、葉や花などがアリドオシに似ることに由来する。日本各地の山地帯から亜高山帯のやや湿った林縁などに生える。6〜7月、枝先に萼筒が合着した2個の白い花を咲かす。果実は2個の子房が合着して一つの実になるが、2個の花の萼の跡が残る。

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黒薙第二発電所に通じる線路

帰りも20分ほどで黒薙駅に着く。黒薙駅から後曳橋を渡って欅平へ向かう線路とは別に、左手に分岐する線路とトンネルがある。これが関西電力の黒薙第二発電所に通じる線路で、今も使われているため、トンネル内は点灯されている。先ほどの黒薙温泉へは途中で分岐する。