半坪ビオトープの日記

乳頭山を望む


草原というよりか低木林の登山道脇には、アジサイ属のノリウツギHydrangea panuculata)が満開に咲いている。日本全国の山野でよく見かけるが、千島から樺太、中国にも分布する。生育地も選ばず日当りがよければいたる所に生える。7月から9月にかけて、アジサイに似た花を咲かせるが色はほとんど白色である。

こちらのしっかりした草姿の花は、セリ科シシウド属のエゾニュウ(Angelica ursina)である。北海道と本州中部地方以北の海岸や山地の草地に生える多年草で、高さは1~3mになる。直立した太い茎は、上部でいくつにも枝分かれする。葉は、2〜3回3出の羽状複葉。7〜8月、散形花序の先に小花を多数咲かせる。属名のAngelica は、ラテン語のangelus(天使)からきている。このシシウド属の植物に強心剤として効果のあるものがあり、使者を息がえらせるというところから名付けられた。種小名のursina は、「熊の」という意味である。

ここにもまたエゾシオガマが咲いていた。高さは20~50cmになるというが、こちらのはかなり伸びきっている。葉は互生し、上部の葉は茎を抱くが、下部の葉には葉柄があり、葉柄は下に行くほど長くなる。縁には重鋸歯がある。

ウゴアザミの陰にノコンギク(Aster microcephalus var. ovatus)が咲いていた。本州〜九州にかけて野山や人里など最も普通に見られる野菊で、ヨメナによく似ているし、亜種も多くある。高さは50~100cmになる。8〜11月、茎先の散房花序に径25mmほどの青紫色の頭花をつける。

群生する大きなエゾニュウの向こうには、いくつも山並みが見える。右端の乳首のような姿の山が、乳頭山(烏帽子岳、1477m)である。その左の尾根の手前の谷に乳頭温泉郷があり、4日前に泊まった黒湯もある。

こちらの背伸びしたセリ科の花は、シシウド属のアマニュウ(Angelica edulis)である。北海道と本州中部地方以北、大山、四国の石鎚山の山地の草地に生える日本特産の大型の多年草で、高さは1~3mになる。葉は、1〜2回3出の羽状複葉で、質が薄く毛がない。小葉は大きく広卵形でさらに3裂し、鋸歯がある。茎は中空で上部で枝分かれし、茎先に壮大な復散形花序をだし、白い小花を多数咲かせる。茎は甘く食用となる。和名の「ニュウ」は、アイヌ語に由来し、食用・薬用になるものにつけられる。

道端の笹の間から紫色のトリカブトの花が咲いていた。比較的よく見かけるオクトリカブト(Aconitum japonica)である。北海道と本州中部地方以北の山地に生える多年草で、高さは80~150cmになる。茎は直立もしくは斜上し、上部には曲がった毛が生える。葉はやや厚い円心形で5裂し、裂片には粗い鋸歯がある。根にアルカロイド物質を含む有毒植物で、かつてアイヌの人びとは熊狩りの矢毒に使用した。

こちらの黄色い花は、キク科のミヤマアキノキリンソウ(Solidago virgaurea ssp. leiocarpa)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や砂礫地に生える多年草で、高さは10~70cmになる。茎の下部の葉は卵形、上部の葉は長い楕円形で縁に鋭い鋸歯がある。花期は8〜9月。茎先に散房状に黄色い頭花を多数咲かせ、色鮮やかなので黄金ギクの別名がある。
八甲田山岩木山とは違い、秋田駒ヶ岳には8月中旬でもまだまだ咲いている花がたくさんあって興味深い。