半坪ビオトープの日記

片倉岳展望台より田沢湖


登山道は急な箇所もほとんどなく緩やかに登っていくと、赤茶けた砂礫地にベンチが置いてある展望台に着く。視界が開けて北東から南西にかけて辺り一面が見渡せる。北東に見える乳頭山の右手前が笹森山で、その峰続きの一番右の山は、湯森山。その間の丸い山が笊森山(1541m)。笊森山と湯森山の間の奥に微かに見える高い山は、岩手県の最高峰、岩手山(2038m)である。

西の眼下には田沢湖高原温泉郷の建物群が見え、その右上には荷葉岳(1254m)周辺の山並みが続き、その裏側には玉川温泉から流れ下る玉川があり、さらに彼方には森吉山(1454m)が見える。

ここは、片倉岳展望台という。前方の男岳の右の裾野の向こうに田沢湖を垣間見ることができる。

左に見える山は左(北)側に崩落地があるので男女岳のはずだが、この展望台には片倉岳の標柱が立っている。展望台自体が下から見ると一つの峰に見え、片倉岳と呼ぶものと推理しておこう。ちなみにここは標高1456mで、第一目標の阿弥陀池までの半分歩いたことになる。

この辺りには、ミヤマホツツジ(Cladothamnus bracteatus)がたくさん咲いている。八甲田山岩木山でも見かけたが、北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の湿地の周辺や低木林に生える落葉小低木で、高さは30~50cmになる。花期は7〜8月で、枝先に総状に花序をだす。花弁の色はやや赤みを帯びた緑白色で、3枚が反り返って丸まる。雌しべが弓状に象の鼻のように曲がるのが特徴である。

ここでわずかに見られたのが、コケモモ(Vaccinium vitis-idaea)の実である。コケモモは、北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の日当りのよい岩場や砂礫地に生える常緑小低木で、高さは5~15cmになる。土壌が酸性の場所を好み、栄養分が少ない土地でも耐えられるが、アルカリ性の土壌では生育できない。耐寒性にすぐれ、-40℃以下でも耐えられるが、夏が暑い場所では生育しにくい。果実を食用とするが、酸味が非常に強いため通常は砂糖などを加えてジャムやジュースなどにする。

ふたたびウメバチソウを見かけた。ウメバチソウには近縁種がいくつかあり、区分は難しい。5個ある雄しべと雄しべの間の外側に仮雄しべが5個あり、その仮雄しべが糸状に分裂し、その先に黄色い腺体が付く。その仮雄しべの分裂数が12~22のものがウメバチソウで、7~11のものがコウメバチソウ(Parnassia palustris var. tenius)とされる。コウメバチソウは、ウメバチソウの高山型変種で、北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の湿った礫地や草地に生える多年草で、高さは5~20cmになる。写真をもっとアップして撮らないと確定できないが、全体が小型なので、この花はコウメバチソウと考えられる。

薄曇りの中、前方右側に見えた田沢湖が半分以上姿をあらわしてきた。