半坪ビオトープの日記

乗越浄土から下山開始

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乗越浄土より千畳敷

いよいよ乗越浄土から下山開始する。膝の具合が悪く踏ん張りが効かないので、上りより下りの方が不安だ。千畳敷カールの向こうにロープウェイの千畳敷駅が見えるが、霧が湧き上がってきた。両手にストックを握りしめてゆっくり歩き出す。

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キバナノコマノツメ

上りはひたすら歩いていたので写真を撮る余裕もなかったが、下りは花を見つけながら休み休み進む。この黄色い花は、スミレ属のキバナノコマノツメViola biflora)。北半球冷温帯に広く分布し、北海道、本州中部以北、四国山地屋久島の亜高山帯から高山帯の湿った草地や沢沿いの林縁などに生育する。唇弁は大きく褐紫色の筋が入り、上弁と側弁が反り返る。和名の由来は、黄色の花で葉の形状が馬の蹄に似ることから。和名にスミレがつかない数少ないスミレの種である。

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ツガザクラ

こちらの小さな花は、ツツジツガザクラ属のツガザクラPhyllodoce nipponica)という常緑小低木。日本固有種で、本州の月山、吾妻連峰以南から中部地方、四国などに分布し、高山の岩場に生育する。茎は地を這い、上部が斜上し、高さは10-20cmになる。葉は密に互生し、長さは4-7mm。枝先に散形花序をつけ、2-6個の白い花を横向きまたは下向きにつける。花冠は帯紅白色の鐘型で、浅く5裂する。

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タカネヨモギ

まだ蕾が開いていないこの花は、キク科ヨモギ属のタカネヨモギArtemisia sinanensis)という多年草。日本固有種で、本州中部地方および東北地方の高山帯の草地に生える。葉は3回羽状に全裂し、裂片は幅1mmの線形。花茎は20-50cm。頭花は総状または副総状花序につき、直径12mmほどの半球形。

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ミヤマダイコンソウ

こちらの花は、上りでも見かけたミヤマダイコンソウ。秋にはこの大きな葉が真っ赤に色づき、岩壁に彩りを添える。

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クルマユリ

こちらはユリ科ユリ属のクルマユリLilium medeoloides)。北海道や本州中部以北、四国の剣山などの亜高山帯から高山帯の草原に生育する。中国、朝鮮半島、千島列島などにも分布する。和名は、葉が茎に輪生する様子を車輪の輻(や)に例えたことに由来する。6枚の花被片はオレンジ色で濃紅色の斑点がある。白色の鱗茎は可食で、アイヌ料理では米と混ぜて炊くなど、調理して食される。

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ハクサンイチゲ

こちらの白い花は、イチリンソウ属のハクサンイチゲAnemono narcissiflora)。種小名は、水仙Narcissus)のような花という意味である。お花畑を構成する高山植物の代表種で、シナノキンバイとよく揃って咲いている。茎の途中に柄のない葉がつき、そこから数本の花柄が伸びて花をつける。花が大きいので豪華な印象がある。

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ハクサンチドリ

こちらの赤紫色の花は、ハクサンチドリ属のハクサンチドリ (Dactylorhiza aristata)。 北海道から中部以北の高山帯の湿り気のある場所に生える多年草。花冠は唇形で先端が3裂し、花の付き方が千鳥の飛ぶ姿に似ることから和名が名付けられた。美しく華やかな高山植物として知られる。

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シナノキンバイのお花畑

八丁坂の中程は、上も下もシナノキンバイの群生が目立つお花畑で、休憩しながら花見を楽しめる。

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シナノキンバイ

シナノキンバイの葉には光沢があり、根生葉や下部の葉は長い柄がある。3出複葉で小葉はさらに羽状深裂し、裂片は鋭い欠刻状の鋸歯がある。大きな花弁に見えるのは萼片。橙黄色で線形の花弁は雄しべより短い。いつも群生するので、お花畑の立役者といえよう。

 

乗越浄土

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乗越浄土

ようやく急斜面の八丁坂を登りつめて、宝剣岳と伊那前岳との鞍部である乗越浄土(2,858m)にたどり着いた。ここまでくると、木曽駒ヶ岳の手前に構える中岳が見える。

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中岳

北を向くと、中岳(2,925m)の手前には赤い屋根の天狗荘があり、中岳の背後には主峰、木曽駒ヶ岳2,956m)がある。天狗荘の左手には青い屋根の宝剣山荘がある。

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伊那前岳

東を向くと、伊那前岳2,883m)に続く稜線が見える。

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剣岳

南には宝剣岳2,931m)が構えている。ここからだと登るのが簡単そうに見えるが、急峻な岩場の山で、その名の通り鋭く尖った岩峰は険しく、しばしば滑落事故が発生する。

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ミヤマダイコンソウ

こちらの黄色い花は、バラ科ダイコンソウ属のミヤマダイコンソウ(Geum calthifolium var. nipponicum)。北海道、本州中部以北、奈良県大峰山、四国の石鎚山に分布し、亜高山帯から高山帯の岩隙、砂礫地に生育する多年草。根生葉はほぼ円形で、不揃いの切れ込みがあり、茎を抱いている。黄色の高山植物の中では大きな葉が目立つ。

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チシマギキョウ

この花は先ほども乗越浄土の手前で見かけたチシマギキョウだが、アップすると花の縁には白い毛が生えていて、類縁種のイワギキョウと区別できる。

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剣岳と三ノ沢岳

駒ケ岳から続く中央アルプスの主稜線には宝剣山荘が建っていて、乗越浄土から2、3分でたどり着く。主稜は宝剣岳の向こう側で南の空木岳2,864m)に続くが、宝剣岳のすぐ裏手で西南に伸びる長大な尾根には、三ノ沢岳(2,847m)が孤高を保っているのが見える。

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天狗荘と中岳

宝剣山荘のすぐ北には赤い屋根の天狗荘もあり、中岳へ向かう稜線もかなり緩やかで、爽快な山歩きが楽しめる。中岳に隠れて駒ヶ岳は見えないが、左手には木曽前岳2,826m)へと続く稜線が見える。

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イワツメクサ

360度の展望を楽しんでいると、足元にイワツメクサStellaria nipponica)がたくさん咲いているのを見つけた。ナデシコハコベ属の多年草で、本州中部の高山帯の礫地に生育する日本固有種。5個の花弁が基部まで裂け、10個の花弁に見える。雄しべは10個。同じく高山に咲く、タカネツメクサ、ミヤマツメクサ、ホソバツメクサなどはタカネツメクサ属であり、花弁は基部まで裂けず、雄しべは5個である。

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剣岳と天狗岩

険しい岩峰の宝剣岳の右手には岩塊が続き、右端に見える巨大な断崖絶壁は天狗岩と呼ばれる。

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チングルマアオノツガザクラ

中岳ぐらいは登りたかったが、時間の都合もあって宝剣山荘で昼食をとった後、ゆっくり下山することにする。足元に薄黄色のチングルマアオノツガザクラが咲いているのを見つけた。バラ科ダイコンソウ属のチングルマGeum pentapetalum)は、北海道と中部以北、樺太アリューシャン列島などに分布する落葉小低木。葉は羽状複葉、白い五弁花には多数の黄色い雌しべと雄しべがある。花後、花柱が伸びて放射状に広がり、風になびく。ツガザクラ属のアオノツガザクラPhyllodoce aleutica)は、高山帯の雪田や岩礫地に生え、高さは10-30cmになる。葉は広線形で、縁には細かい鋸歯がある。和名は葉がツガに似て、花がやや緑色を帯びることに由来する。

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コケモモ

こちらの小さな花は、ツツジ科スノキ属のコケモモ(Vaccinium vitis-idaea)。ユーラシア北部や北アメリカの周北林に生育する常緑小低木。光沢がある楕円形の葉は互生する。初夏に6mmほどの釣鐘型の白い花をつけ、秋に7mmほどの赤い果実を熟す。果実は食用とされる。

 

木曽駒ケ岳、八丁坂

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木曽駒ケ岳のロープウェイ

奥飛騨から安曇野のわさび農場などを見物しながら木曽谷に入り、駒ヶ根早太郎温泉に泊まって木曽駒ケ岳を目指した。中央アルプスの主峰、木曽駒ケ岳のロープウェイは、昭和42年、しらび平駅(1,662m)から宝剣岳直下の千畳敷駅(2,612m)まで架けられた日本初の山岳ロープウェイである。標高差950mを7分30秒で駆け上がる空中散歩は、次から次に現れる連滝を見下ろしながら進む。背後の東方面には南アルプスの山並みが見える。

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千畳敷

千畳敷駅は、日本最高所駅である。駅は宝剣岳2,931m)の手前、千畳敷カールを見下ろす位置にあり、左手にはサギダルノ頭(2,858m)が構えている。

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駒ヶ岳神社

千畳敷駅の裏手から千畳敷カールを一周する遊歩道が始まり、すぐ駒ヶ岳神社にぶつかり右に折れて行く。

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サギダルノ頭から宝剣岳への稜線

サギダルノ頭から宝剣岳へ連なる稜線は、急峻な岩峰が続いているので、初心者は恐怖心に駆られる。

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八丁坂

遊歩道は千畳敷カールを右下に進み、宝剣岳の右手のガレ場の斜面、いわゆる八丁坂の末端で登山道と合流する。そこまでは楽々と気分良く進めそうだ。

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八丁坂と乗越浄土

だがジグザグの八丁坂をよく見ると、鞍部の乗越浄土まで登り切ることができるか不安になる。数年前に遊び仲間たちと登ったときは、乗越浄土からさらに先の中岳や木曽駒ケ岳山頂まで歩けたが、足腰がすっかり弱った今回は乗越浄土が目的地である。

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シナノキンバイ

遊歩道を歩き始めると、すぐにも可憐なシナノキンバイに出会う。キンポウゲ科キンバイソウ属のシナノキンバイTrollius japonicus)は、北海道及び中部以北の高山帯の湿った草原に生える多年草で、お花畑を代表する高山植物である。パラボラ形の花は直径3〜4cmの鮮やかな黄色で、5〜7個の萼片が花弁のように見える。2016年に新学名Trollius shinanennsisが提唱されているが、どちらが定着するかわからない。

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ジグザグの八丁坂

いよいよ登山道に近づくと、ジグザグの八丁坂にはたくさんの登山者が見受けられが、ガレ場の上の方では米粒より小さくなって見定めることができない。

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八丁坂の左右の岩峰

八丁坂の左右には、今にも崩れてきそうに見える巨大な岩峰が迫っていて迫力がある。左手の宝剣岳もさることながら、右手の岩峰からも八丁坂に落石があったらひとたまりもないだろう。

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ロープウェイの千畳敷

八丁坂は休み休みゆっくり登るに限る。振り返ると遊歩道の先にロープウェイの千畳敷駅が見えるが、霧も発生して上がってくるようだ。

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乗越浄土

ガレ場の登山道の周りには色とりどりの高山植物が咲いているが、写真は帰りにゆっくり撮ることにして先に進む。ジグザグの登山道はいつまでも続いて、なかなか乗越浄土に近づかない。見上げるたびにため息が出るが、天気がいいのでもう少しの辛抱だ。

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チシマギキョウとウサギギク

乗越浄土に近づいた時、目の前に青紫色が鮮やかなチシマギキョウが現れた。キキョウ科ホタルブクロ属のチシマギキョウCampanula chamissonis)は、北海道及び中部以北の高山帯の岩場や砂礫地に生える多年草で、アジア北東部及び北アメリカにも分布する。4cmほどの花の縁には白い毛が生えていて、よく似た近縁種のイワギキョウと区別できる。左手の黄色い花は、キク科ウサギギク属のウサギギク(Arnica unalascensis var.tschonoskyi)である。北海道及び中部以北の亜高山帯から高山帯の草原に生える多年草で、千島列島やアリューシャン列島にも分布する。一本の茎は直立し、分枝しない。和名は葉の形がウサギの耳に似ることに由来する。

 

霧の畳平

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ヨツバシオガマ

依然として畳平は霧に包まれて、周りの山は何も見えない。足元の高山植物だけがかろうじて見えるだけだ。この花もお花畑でよく見かけるもので、シオガマギク属のヨツバシオガマPedicularis japonica)である。本州中部以北と北海道の高山帯の湿り気のある場所に生える。和名の通り、シダのような葉が茎の節ごとに4つずつ輪生する。花期は6-8月で、薄赤紫色の太くて短い花弁が数段に重なり輪生する。花冠は唇形。上唇の先は嘴状に尖り、下唇は深く3裂する。

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ハクサンボウフウ

こちらの小さな白い花は、セリ科カワラボウフウ属のハクサンボウフウ(Peucedanum multivittatum)という。本州中部以北と北海道の高山帯の草地に普通に生える。葉は1-2回3出羽状複葉または単羽状になる。葉柄の基部が鞘状に膨らみ茎を抱く。花期は7-9月。茎頂に複散形花序をつけ、10数個の小花序をつける。小さな白色の5弁花から先が黒紫色の雄蕊が突き出ている。

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ミヤマキンポウゲ

お花畑でよく見かける黄色の花といえば、このミヤマキンポウゲRanunculus acris var. nipponicus)が代表の一つといえよう。キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草で、本州中部以北と北海道の高山帯の湿り気のある場所に生え、雪渓周辺に群落をつくることが多い。葉は大きく3つに裂け、裂片はさらに細かく裂ける。花は直径2cmほどの黄色い5弁花で、丸みを帯びる。花期は7-8月で、雪解け後に開花する。

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ハクサンイチゲ

この白い花もお花畑の代表ともいえる、キンポウゲ科イチリンソウ属のハクサンイチゲAnemone narcissiflora)である。本州中部以北から東北地方の高山帯の湿った草原に生え、ミヤマキンポウゲとともに雪渓周辺に群落をつくることが多い。白色の花弁に見えるのは萼片で5-7枚ある。エゾノハクサンイチゲ、シコクイチゲなど各地に近縁種がある。

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ウメバチソウイワツメクサ

畳平のお花畑も半分弱で通行止めとなっていて、引き返すしかなかった。石段脇に咲いていた白い5弁の花は、ウメバチソウ属のコウメバチソウParnassia palustris var. tenuis)である。ウメバチソウの高山型で、本州中部以北と北海道の高山帯に生育する。右手の白い小さな花は、ナデシコハコベ属のイワツメクサStellaria nipponica)である。本州中部の高山の礫地に生育する。花期は7-9月とかなり長い。5弁花であるが、真ん中に深い切れ込みがあって花弁が10枚あるように見える。

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イワギキョウ

こちらも石段脇に咲いていたキキョウ科ホタルブクロ属のイワギキョウ(Campanula lasiocarpa)である。本州中部以北と北海道の高山帯の砂礫地や岸壁に生育する。葉の縁には突起状の浅い鋸葉がある。萼片は線形で、花冠は無毛。近縁種にチシマギキョウがあるが、そちらは萼片が三角形状で、花冠には長い毛があるので区別できる。

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乗鞍岳の雪渓

帰りがけに霧が晴れたところで乗鞍岳頂上直下の雪渓を見上げると、夏スキーを楽しむ人が小さく見えた。

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乗鞍高原から見る乗鞍岳

麓の乗鞍高原から仰ぎ見る乗鞍岳の剣ヶ峰は、その名の通り切っ先鋭く天を突いていた。右手の畳平だけが霧の中だったのが惜しまれる。

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新穂高温泉

この日の宿は、奥飛騨温泉郷新穂高ロープウェイにほど近い新穂高温泉の槍見館とした。清流・蒲田川沿いに佇む古民家造りの一軒宿で、混浴露天風呂が二つに、貸切露天風呂が四つもある。絶景大浴場からは、その名の通り、温泉に浸りながら槍ヶ岳を仰ぎ見ることができる。右上には新穂高ロープウェイが見える。終着駅の西穂高口駅は標高2,156mもあり、展望台からは正面の岐阜県単独最高峰の笠ヶ岳2,898)をはじめ、360度見渡す限り広がる北アルプスの山々を望むことができる。

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槍ヶ岳遠望

若い頃に一度だけ登ったことがある、尖った槍ヶ岳(3,180m)を眺めながら感傷に浸っていると、ヘリコプターが一機飛んできた。槍ヶ岳穂高岳の周りを空中散歩しているようだ。

 

乗鞍岳、畳平

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エコーライン、三本滝レストハウス

7月末に乗鞍岳に行った。標高3,026mの剣ヶ峰を主峰とする乗鞍岳は、大小の3,000m近くの峰々が聳え立ち、バスで行ける畳平を中心に山岳観光のメッカとなっている。岐阜県側の乗鞍スカイラインは土砂災害のため通行止めなので、長野県側の乗鞍高原からのエコーラインをバスに乗って向かう。三本滝レストハウスを眼下に見下ろすあたりからバスは高度を上げていく。下界は晴れているが、上の方は雲が湧いているのが気にかかる。

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乗鞍岳、畳平

案の定、畳平は霧に包まれて何も見えない。標高2,702mと日本一高いところにあるバスターミナルまで気軽に上がれるのは楽なのだが、お花畑さえ見晴らせないのは悲しい。主峰の剣が峰に登る体力はもうないので、畳平を囲む富士見岳(2,817m)か大黒岳(2,772m)でも登って見ようと思っていたが天気には勝てない。何も見えなかったお花畑が帰り際になって一瞬姿を現したかと思う間も無くまた霧の中に隠れてしまった。

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畳平のお花畑

数年前に来た時はかなりの雨の中でお花畑を見て回ったが、今回は霧だけなので近くの花々を見ることができるだけでも幸いだ。バスターミナルから一歩遊歩道に下りると左手にもうお花畑が始まる。白いハクサンイチゲと黄色いミヤマキンポウゲの群落は代表的なお花畑を形成している。

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クロユリの群落

遊歩道の右手にはクロユリの群落が広がっている。これだけ密集している光景は珍しく畳平ならではであろう。

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クロユリとモミジカラマツ

クロユリFritillaria camtschatcensis)は、ユリ科バイモ属の多年草で、本州中部地方以北、北海道、ロシア東部、北アメリカ北西部の高山帯に分布する。茎先に鐘状の花を数個下向きにつける。花被片は6個で暗紫褐色、少し黄色が混じる。日本では可憐な花とされるが、花に悪臭があるので、英語では「skunk lily(スカンクユリ)」「dirty diaper(汚いオムツ)」などの別名がある。白い花は、キンポウゲ科モミジカラマツ属のモミジカラマツ。中部地方以北と北海道の高山帯の湿り気のある場所に生える多年草。花弁はなく白いのは雄しべである。名前は、花がカラマツの葉の付き方に似て、葉がモミジの葉に似ていることから付けられた。

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コイワカガミ

こちらの花の形が個性的な赤い花は、コイワカガミSchizocodon soldanelloides)である。イワウメ科イワカガミ属の常緑多年草で、北海道から九州までの草地や岩場に生育する高山植物として親しまれているが、実質的には低山帯から高山帯まで幅広く分布する。葉は厚く光沢があり、イワカガミの「鏡」の由来となっている。高さ10-20cmになる花茎を伸ばし、先端に3-10個の花を総状花序につける。花冠は漏斗状で5裂し、裂片の淵はさらに裂ける。この花の形は珍しい。

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アオノツガザクラ

こちらの可憐な花もお花畑でよく見かける常緑小低木の高山植物で、ツツジツガザクラ属のアオノツガザクラPhyllodoce aleutica)という。茎は地を這い、よく分枝する。線形の葉は密に互生する。枝先に4-10個の花を下向きにつける。花冠は淡い黄緑色で、壺型の先端が浅く5裂する。北海道と本州中部以北に分布し、高山帯の雪渓脇などの湿り気のある岩場や草地に生育し、しばしば群生する。千島、樺太カムチャッカ、アラスカにも分布する。右下にかろうじて見える白い花は、キンポウゲ科オウレン属のミツバオウレンCoptis trifolia)である。常緑の多年草で、根出葉は3出複葉である。白い花弁に見えるのは萼片で5枚あり、花弁は黄色で萼片より小さい。本州中部以北と北海道の亜高山帯から高山帯の針葉樹林内や林縁、湿地に生育する。

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チングルマ

こちらのクリーム色の花は、バラ科ダイコンソウ属のチングルマGeum pentapetalum)である。本州中部以北と北海道の高山の雪渓周辺の多湿地に生える、落葉小低木の高山植物である。葉は羽状複葉。花期は6-8月とされるが、お花畑では早めに花が散る。花後、花柱が伸びて放射状に広がる。果実は痩果。和名は、この実の形が子供の風車に見えたことによる稚児車(ちごぐるま)が転じてつけられた。

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ミヤマダイコンソウ

こちらの花は、バラ科ダイコンソウ属のミヤマダイコンソウ(Geum calthifolium var. nipponicum)である。北海道と本州中部以北、奈良県大峰山、四国の石鎚山の亜高山帯〜高山帯の岩隙、砂礫地に生育する多年草。頂小葉は直径2-12cmと大きく、端が鋸葉で光沢がある。茎葉に剛毛がある。花は鮮黄色で5弁花を咲かせる。

サーモンのハーブ焼き、トマトとバジルのソース

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セージ8枚、タイム4本

サーモンのハーブ焼き、トマトとバジルのソース(四人前)を作る。

先ず、セージ8枚、タイム4本を用意し、みじん切りにする。

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トマト半分、バジル8枚、タマネギ1/8個

トマト半分と、バジル8枚、タマネギ1/8個を用意し、みじん切りにしてボールに入れる。

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トマトとバジルのソース

そのボールに、オリーブオイル大さじ2、パルメザンチーズ大1、塩胡椒少々を加えてトマトとバジルのソースを作る。

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サーモン4枚に塩胡椒、セージとタイム

アトランティックサーモン4枚にしっかりと塩胡椒をふり、みじん切りのセージとタイムをふりかけ、軽く小麦粉をまぶす。

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フライパンにオリーブオイルとニンニク、そしてサーモン

フライパンにオリーブオイル大2とニンニクを入れて弱火にかけ、ニンニクの香りが立ってきたらサーモンを入れる。

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両面をしっかり焼く

片面が焼けたら裏返し、両面をしっかり焼いて皿に盛る。

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トマトバジルソースをかける

トマトバジルソースをかけて出来上がり。

*サーモンに塩胡椒をしっかりかけておくことが大事。

真鯛のポアレ、ジェノベーゼソース

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バジルの葉、松の実、ニンニク

真鯛のポアレはよく食べる。かなり前にパプリカ和風バターソースで紹介したが、普段はレモンバターソースが多い。けれどもバジルがたくさんある時には、やはりジェノベーゼソースを使いたい。まずはバジルの葉を1カップ、松の実50g、ニンニク2片、オリーブオイル100g、パルメザンチーズ大2を用意する。

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ジェノベーゼソースを作る

ブレンダーに詰めたら、塩胡椒小1/2、レモン汁大1を加え、それをミキサーすれば、ジェノベーゼソースが出来上がる。残ったソースは小分けにして冷凍保存するとよい。

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ズッキーニ、ニンジン、マッシュルーム、タマネギ

ズッキーニ1/2本、ニンジン1/4、マッシュルーム6個、タマネギ20gを小さめに切る。

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真鯛の切り身

真鯛の切り身に塩胡椒する。

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キヌア1カップを蒸す

鍋にキヌア1カップに水2カップとチキンブイヨン1個を入れて熱し、沸騰したら蓋をして弱火で2分、その後5分蒸らす。

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真鯛を皮目から焼く

バター大2を熱したフライパンに真鯛を皮目から入れ、カリッとするまで中火で約3分焼く。

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裏返して1分焼く

裏返して約1分焼く。

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キヌアに真鯛をのせる

キヌアを皿に広げ、その上に皮目を下にして真鯛をのせる。

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ズッキーニ、ニンジン、マッシュルーム、タマネギを炒める

同じフライパンで、ズッキーニ、ニンジン、マッシュルーム、タマネギを軽く炒め、塩胡椒で味を整える。

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野菜とジェノベーゼソースとバジルの葉を添える

真鯛の周りに炒めた野菜を散らし、トッピングにジェノベーゼソースとバジルの葉を添えて出来上がり。

*キヌアの余りはサラダやスープに使うとよい。