半坪ビオトープの日記

おきなわワールド 


玉泉洞の出口はおきなわワールドの一番奥にあり、すぐに熱帯フルーツ園となっている。マンゴーやパパイヤ、パイナップルなど約100種類450本の熱帯果樹が栽培されている。

この実はレンブ(Syzygium Samarangense)というマライ半島原産種で、リンゴと梨を合わせたような味がして、主に生食に利用される。その先のフルーツ王国のパーラーでは、県産パインなどのトロピカルフルーツやヤシの実ジュースを楽しむことができる。

フルーツ王国、陶器工房、琉球ガラス工房を通り過ぎると、藍染工房、紙すき工房、機織工房、紅型工房などが建ち並ぶかりゆし広場に出る。機織工房では、花織、ロートン織、手花織など首里の伝統的技法を現代風にアレンジした新しい織りを見ることができる。また、機織体験のほか、三線体験やカンカラ三線作り教室なども催されている。

かりゆし広場の真ん中には、ベンガルボダイジュ(Ficus benghalensis)が木陰を作っている。ベンガルボダイジュは、熱帯アジア原産のイチジク属の常緑高木で、近縁種のガジュマル(F.microcarpa)より葉が大きく、同じように横に大きく広がる大木になり、緑陰樹として親しまれる。

琉球写真館では、琉球王朝時代に王族・士族のみが着用した伝統衣装などの琉装着付け体験ができ、写真撮影もできる。

写真館の先に王国歴史博物館が建っている。入り口の両脇にも屋根の上にもシーサーが構えている。

王国歴史博物館は、琉球の自然・文化・歴史を分かりやすく紹介する博物館だが、沖縄のシーサーや、その原型とされるアジアの獅子などを集めた世界のシーサーコレクションは必見の価値がある。シーサーは、沖縄県を中心に見られる伝説の獣の像で、建物の門や屋根、村落の高台などに据え付けられる。家や人、村に災いをもたらす悪霊を追い払う魔除けの意味を持ち、屋根の上に設置されるケースが最も多い。

シーサーの名は、「獅子」(元はサンスクリット語のライオン、シンハー)を沖縄方言で発音したものである。八重山諸島ではシーシーともいう。スフィンクスや中国の石獅子、日本本土の狛犬などと同じく、源流は古代オリエントのライオンと伝えられている。琉球王国の正史とされる史書の『球陽』によれば、始まりは1689年のことで、当時、火事が頻発して難儀していた人々が風水師に助言を求めたところ、その風水師は八重瀬岳の影響によるものといい、これを防ぐには獅子の像をつくり山に向けて設置するようにと助言した。住民がその言に従ってシーサーを設置したところ火事は発生しなくなったという。そのシーサーが現存する最古にして最大とされるシーサーで、八重瀬町にあって高さが1.4mあり、沖縄県の指定有形文化財に登録されている。

王国村を出て南都酒造所を通り抜けるとエイサー広場がある。ここで人気のパフォーマンス「エイサー」が催される。本来は旧盆の先祖供養の集団舞踊で、盆踊りの一種だが、ここでは連日公演している。太鼓を叩きながら回転しつつジャンプするなど、躍動感あふれる勇壮な伝統芸能だが、残念ながら撮影はできない。

広場の隅にはこんな舞台もあるので、華麗な琉球舞踊というよりは素朴な村踊りが演じられることもあるのかもしれない。

広場の垣根に鮮やかな赤紫色のブーゲンビリア(Bougainvillea)の花が咲いていた。中央アメリカ及び南アメリカ原産の熱帯性低木で、色づいて花弁に見えるのは中心の小さくて白い花を取り巻く包葉である。

おきなわワールドの出口近くに咲いていたこの花は、ホウオウボク(Delonix regia)という。マダガスカル島原産のマメ科の落葉高木で、高さは10〜15mになる。直径10cmほどの5弁で緋紅色の蝶形の花が、総状花序に咲いて華やかである。