半坪ビオトープの日記

大和村、マテリヤの滝

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湯湾岳展望台公園

宇検村とその北隣の大和村の境に、奄美大島最高峰、標高694mの湯湾岳がある。登山ルートは両村側からあるが、宇検村側の登山口入口には湯湾岳展望台公園の駐車場がある。

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湯湾岳展望台

そこから森の中に設けられた苔むした遊歩道を上ると、数分で古ぼけた湯湾岳展望台に着く。

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湯湾岳

展望台は360度見晴らせ、周りは深い山々に囲まれている。ここから湯湾岳山頂まで登山道があるが1時間ほどかかる。

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焼内湾

真西には宇検村の深い入り江である焼内湾の景観を眺めることができる。春と秋は湾を照らしながら夕日が沈む光景が実に見事だという。

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ヒカゲヘゴ

大和村方面へ下って行き、やはり森の中にあるマテリアの滝を目指す。途中、道端から道路にヒカゲヘゴの大きな葉がはみ出しているのに出会った。日本最大のシダ植物であるヒカゲヘゴの葉は2m以上あり、高さは平均でも5m、最大では15mになる。80cmほどに成長した新芽は食用に適し、茹でて灰汁抜きした後、天ぷらや三杯酢などにして食べることができる。

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奄美フォレストポリス「渓流ゾーン」

湯湾岳の麓に広がる福本盆地に約20haの広大な森林公園・奄美フォレストポリスがある。公園内はフィールドアスレチックなどで遊べる「ふれあいゾーン」、池や広場で昆虫や水棲動物などに出会える「水辺のゾーン」、神秘的なマテリヤの滝を中心とした「渓流ゾーン」からなり、バンガローやキャンプ場も整備されている。アマミノクロウサギを見かける確率も高いという。

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渓流沿いの遊歩道

マテリヤの滝壺入口で車を止め、階段を下って渓流沿いの遊歩道を進んで行く。福本盆地はかつて琉球王朝から島津藩時代には、宇検村と大和村の中間地点として旅人や飛脚等の休息地、宿場として集落があったという。鬱蒼たる森の中の水の流れを眺めながら、当時の旅人らに安らぎを与えたというマテリヤの滝に思いを馳せながら水際を進む。

 

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マテリヤの滝

ようやく見えてきたマテリヤの滝は思いの外水量が多く、勢いよく大きな滝壺に流れ落ちる様は清涼感に溢れている。昔の人々は、薄暗い森の中でこの滝壺に美しく映り輝く太陽の影を見て、「本当に美しい太陽の滝壺」と賞賛し続け、いつの間にか「マテリヤのコモリ」となり、今では「マテリヤの滝」と呼ばれている。

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イシガケチョウ

滝壺入口に戻ったところ、珍しいイシガケチョウ(Cyrestis thyodamas)が飛んでいるのを見つけた。しばらく眺めていると道に舞い降りたので急いで写真を撮った。タテハチョウ科イシガケチョウ属で、紀伊半島以南、四国、九州以南に生育し、翅の石崖模様が特徴である。

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大和浜の群倉

大和村役場の近くの奄美野生生物保護センターの向かいに、珍しい群倉がある。奄美の高倉は、主に穀類を貯蔵する倉庫で、金釘を使用せず、柱はネズミが登れないよう綺麗にカンナで削りあげてあり、大風でも倒れず、火事の時は貫木を外すと容易に倒れる、独特の建築様式をもつ。その高倉の集まりを群倉と呼ぶが、今でも昔のまま唯一残るのが、大和浜の群倉である。

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奄美野生生物保護センター、シリケンイモリの写真

奄美野生生物保護センターでは、毒蛇ハブやオオトラツグミアマミヤマシギ、アマミノクロウサギなどの剥製、昆虫や植物の標本など、奄美群島に生息する生き物たちの姿を幅広く紹介している。こちらが加計呂麻島で見かけたシリケンイモリの写真。違いがよくわかるように珍しいイボイモリの写真も並べてあった。

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アメリデイゴ

奄美野生生物保護センター前の広場にはデイゴの木が何本かあり勢いよく咲いていたが、よく見ると花びらが大きい南アメリカ原産のアメリデイゴErythrina crista-galli)であった。加計呂麻島の諸鈍デイゴや沖縄の県花でもあるデイゴErythrina variegata)は、インドやマレー半島原産であり、オウムのくちばしに似た深紅の花を房状にあるいは扇形に咲かせる。本来のデイゴは沖縄でもあちこちでかなり弱っており、丈夫なアメリデイゴが代わりに植えられているようだ。