半坪ビオトープの日記

島豆腐、大島紬村

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島豆腐定食

鶏飯が最も有名な奄美の郷土料理だが、島豆腐も美味しい郷土料理だ。龍郷町の老舗豆腐料理専門店「島とうふ屋」では、美しい奄美の海から取れる「にがり」を使用した島豆腐のほか、豆腐ハンバーグ・豆乳・湯葉などの豆腐料理が食べられる。この日の「島とうふ屋定食」は、おからサラダ・白和え・湯葉巻・生湯葉おひたし・豆腐ハンバーグ・くみあげ湯葉・ピーナツ豆腐・塩豚の煮物などのセットで、島豆腐料理を堪能できて嬉しい。

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西郷隆盛と愛加那の木像

龍郷町西郷隆盛30歳から約3年間過ごした町で、南洲流謫跡、2番目の潜居地、西郷翁上陸の地、南洲神社などゆかりの史跡がいくつもある。奄美大島蟄居を命じられた西郷は龍郷の阿丹崎に上陸。西郷を乗せた船がとも綱を繋いだと伝えられた「西郷松」があったが、近年松枯れの被害を受けた。その西郷松を利用した西郷隆盛と愛加那の木像が、龍郷町生涯学習センターである「りゅうがく館」に展示されている。

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大島紬

龍郷町に1万5千坪の敷地を有する大島紬村があり、大島紬の生産工程を見学したり、泥染め体験したりできる。奄美大島特産の大島紬は、フランスのゴブラン織り、ペルシャ絨毯とともに世界三大織物に数えられる伝統工芸品である。

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亜熱帯植物庭園

広大な敷地は亜熱帯植物庭園ともなっており、ハイビスカスやブーゲンビリアなどの美しい花々やアダン、ソテツ、パパイアなどの樹木もいたるところに植えられている。

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イシガケチョウ

園内に入ってすぐの植え込み近くにイシガケチョウが飛び回り、例のごとく吸水のため目の前で地面に舞い下りた。本州では見かけることのない南国の蝶にワクワクする。

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泥染め発祥の地

ここ龍郷町赤尾木は、奄美古代泥染め発祥の地といわれる。東大寺の献物帳には「南島」から褐色の紬が献上された旨の記述があり、奄美では奈良時代以前から絹布づくりと染色が行われていたと考えられている。

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大島紬の染色工程

大島紬の特徴は、糸を染めてから織る先染めと手織りであり、全体の作業工程は60以上になる。大きく分けると、図案→整経→絣締→染色→加工→機織りとなるが、泥染め染色とはテーチ木(シャリンバイ、車輪梅)の煮出液と自然の泥土に含まれる鉄塩類の媒染により染色する草木染色で、鉄分を多く含む奄美の泥を使うことで渋く落ち着いた色調の絣織物が出来上がる。

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大島紬の泥染め

世界に類を見ない天然染色法の泥染めは、色を強めるシャリンバイ染めを数十回繰り返す途中で、鉄分との化学結合を行う泥染めを数回組み合わせて行う染色法で、そのことにより色落ちしない深く光沢のある渋い黒褐色に染まる。

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大島紬の機織り

大島紬は、締機で手作業により経・緯の絣を加工し、手機で経・緯の絣を絣合わせしながら織りあげたものであり、織り上げるには一月から数ヶ月かかる。機織りは一日約7cmしか進まず、経・緯の交差は、複雑なものになると1千万個を超える場合があるという。ここでは大島紬の泥染め体験のほか、予約すれば機織り体験や着付体験ができる。

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月桃

亜熱帯植物庭園内にはアカショウビンオーストンオオアカゲラルリカケスなどの珍しい鳥も生息しているので、運が良ければ巡り会うことができる。

これが奄美の郷土料理で餅などを包むショウガ科ハナミョウガ属の月桃Alpinia zerumbet)の花で、奄美ではサネン、沖縄ではサンニンという方言でも呼ばれる。クマタケランと比べて、白い花弁には赤い縁取りがあり、中の唇弁が黄色と美しい。

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ラッセリア

庭園内のあちこちで咲いていたこの深紅の花は、ハナチョウジ属のラッセリア(Russelia equisetiformis)という。メキシコ原産の常緑性低木で四季咲き性が強く、筒状の花が長期間開花する。葉は退化して鱗片状になり、トクサのように見える茎はよく分枝して垂れ下がる。耐寒性があり、関東南部以西では戸外でも冬越しし植栽される。別名、ハナチョウジ(花丁子)とも呼ばれる。

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ヒシバデイゴ

長く横に伸びた花茎に刀のような真紅の花を穂状に咲かせているのは、ヒシバデイゴ(菱葉梯梧、Erythrina x bidwillii)という。北米原産のアメリデイゴと南米原産のデイゴの交配種で、別名、サンゴシトウ(珊瑚紫豆)という。葉は菱形というよりか先の尖った軍配形、茎や葉裏に棘がある。

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ハブソウ

こちらの黄色い花は、マメ科センナ属のハブソウ(波布草、Senna occidentalis)という一年草。原産地はアメリカ南部から熱帯アメリカ。江戸時代に、葉が毒虫やハブに咬まれたときの民間薬として導入され、南西諸島や小笠原諸島で渡来植物となっている。

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高倉

大和村でも見かけた高倉がここにもあった。穀物を貯蔵する奄美大島の高倉は、金作原原生林にも聳えていた巨木のイジュの木を利用して建造されている。起源は台湾やフィリピンなどの東南アジアとされるが、日本では奄美にしか残されていないという。