本尊は地蔵菩薩像で、脇侍に不動明王像と毘沙門天像を安置している。江戸中期に狩野派の絵師により描かれた、中国の漢から宋の時代に至る歴代の詩人『三十六詩仙』が客殿に掲げられている。他にも中国の楽器編鐘(復元品)や磬石(讃岐石製の声明練習用の楽器)などが展示されている。
門の脇に園芸品種のツワブキの花が咲いていた。ツワブキ(Farfugium japonicum)は、キク科ツワブキ属の常緑多年層で、海岸近くの岩場などに生え、本州福島県、石川県以西、四国や九州、南西諸島に自生し、中国にも分布する。和名ツワブキ(石蕗)の由来は、艶葉蕗(つやはぶき)から転じたとの説のほか、厚葉蕗(あつはぶき)から転じたとの説もある。園芸品種も多く、黄色い大小の斑点が葉全体に散らばる星班ツワブキ(キモンツワブキ、ホタルツワブキ)などの斑入りや、クリームホワイト、朱色、レモン色など花色の違う品種もある。左の黄色い実が目立つ植物は、センリョウの園芸品種で、キミノセンリョウ(Chloranthus glaber f.flavus)という常緑小低木。センリョウは本州関東西部以西、四国、九州、南西諸島に自生し、中国、東南アジアにも分布する。花の少ない冬に美しい実をつけるため、正月の縁起物としても人気がある。その下に垣間見える小さな赤い実は、ヤブコウジ(Ardisia japonica)という常緑小低木。別名、ヤマタチバナ、十両。北海道奥尻島、本州以南の林内に自生し、朝鮮半島、中国にも分布する。冬に美しい果実をつけるので、古くから園芸植物として庭木や寄せ植えなどで愛されてきた。