半坪ビオトープの日記

薬草園、アイヌ伝統料理


ポロトコタンの左側(北西)に位置するポロト湖の周辺には、ポロト自然休養林が広がり、湿原やキャンプ場、カヌーやサイクリング、バードウォッチングなど四季折々に楽しめる。また、日帰りのポロト温泉もポロト湖畔にある。

園内には松浦武四郎の胸像および「民族共生の人 松浦武四郎」の石碑がある。かつて蝦夷地と呼ばれていた北海道を調査した探検家の松浦武四郎は、アイヌとも深い交流を持ち、徳川幕府蝦夷地御用掛、明治政府の開拓判官になり、北海道名などを選定し、アイヌの保護策にも尽力したが、抵抗勢力に遮られて孤立して開拓使を辞めざるを得なくされた。武四郎が収拾したアイヌ民具や蝦夷地調査に関する資料は園内のアイヌ民族博物館に展示されている。

園内には有用植物園もある。アイヌが食用・薬用に利用した植物約50種を移植栽培している。主な植物に、日本中の山野に自生するシソ科のナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)がある。アイヌ語ではエントと呼ぶ。アイヌは茎や葉を炙って粥に入れた。お茶にして飲むと体が温まり、二日酔いにも効くという。

手前の草が、猛毒のトリカブトである。アイヌ語ではスルクというが、厳密にはトリカブトの根を意味し、その矢毒そのものもスルクと呼ぶ。北海道のいたるところに自生するが、特定の地域に毒性の強いものがあると信じられているようだ。トリカブトも数種知られていて、毒性にも強弱があり、葉が枯れた晩秋から春先にかけてが毒性の強い時期といわれる。
トリカブトの葉に隠れてシウキナの名が見えるが、まだ葉が出ていないようだ。セリ科のエゾニュウのことで、若い茎の皮を剥いて生のまま食べた。その後ろのトマは、ケシ科のエゾエンゴサクのことで、アイヌは根茎を採取し茹でて食べ、干して保存もしたという。

エシケリムリムとは、ユリ科カタクリのことで、オオウバユリと同じように根からデンプンをとって粥に入れて食べた。

アイヌ民族博物館と大きなコタンコルクル像との間には、北海道犬とヒグマが飼われている。ここの北海道犬には、携帯電話のテレビCMに登場する「お父さん犬」の娘「ユメちゃん」が飼われていて、ポロトコタンのアイドルとして人気を集めている。

北海道の生態系の頂点に立つヒグマは、アイヌにとって最も尊い神(カムイ)であり、ヒグマを神の国へ送り返す儀式イヨマンテは、アイヌ最大の儀式として知られる。

園内の売店併設のカフェリムセでは、アイヌ伝統料理を食べることができる。メインはオハウセット。鮭とジャガイモなどの野菜を煮込んだ塩味のスープであるオハウと、いなきびご飯、ウドの山菜小鉢、カボチャのシト(団子)に、エント-ウセイという「ナギナタコウジュ」を煎じた薬草茶のセットが800円である。

こちらはニセウうどん。ニセウとはアイヌ語でドングリを意味する。ドングリの粉を練り込んだうどんに、甘辛く味付けしたエゾシカ肉と白老産の椎茸や卵をトッピングし、ミニおにぎりと香の物付きで800円である。