半坪ビオトープの日記

カムイワッカの滝、ルシャ湾


知床半島クルーズは湾と岬を巡りながら進むが、ここがワシの鼻と呼ばれる岩だらけの岬。

よく見ると、その名の通り大きなワシが睨みを利かせている。知床には、海洋生態系の頂点に位置するとも言われるオジロワシオオワシが生息している。どちらも羽には白色と茶褐色が混じり、尾羽はどちらも白いので、一枚の写真から見分けるのは至難の技だ。肩の羽が白ければオオワシだが、白くないのでオジロワシと思われる。どちらも国の天然記念物で絶滅危惧種だが、オジロワシの方が絶滅の危険性が高い絶滅危惧IB類に分類されている。

定置網を避けて沖を回り込むと知床連山が視界に入る。左の大きな山が知床硫黄山(1562m)である。硫黄山知床半島唯一の活火山で、山頂や山腹に硫気孔があり、噴煙を上げている。知床半島にある第四紀火山のうち最大で、今から24万年前には活動を開始、安山岩や火山灰、溶岩などの噴出により成層火山を形成している。北西側中腹の爆裂火口は、多量の溶融硫黄を噴出する特徴的な活動を繰り返し、世界的にも珍しい噴火形式として知られている。

ヒグマを探すといってクルーザーが海岸に近づいたので、目を凝らしてみるがなかなかヒグマは見つからない。

大きな岬の手前に、いよいよカムイワッカの滝がかすかに認められた。

カムイワッカの滝は、硫黄山から一直線にカムイワッカ川となってオホーツク海へ注いでいる。河口付近は硫黄のため褐色になっている。谷のずっと奥のやや右上に、硫黄山の山頂がかすかに姿を見せている。

次の岬の手前の海岸に四角い岩が並べられたような景観がある。その岩はたわら岩と呼ばれている。

この細い滝は硫黄の滝という。この川も硫黄山から流れ下っている。

ウンメーン岩を越えて、さらに進む。前方に見えるのは知床岳(1254m)。今回、半島先端の知床岬までは、船便と時間の都合で残念ながら行けない。

またもや眺められた硫黄山の奥深い谷になんと橋が架かっている。知床五湖からカムイワッカ湯の滝を経由し知床大橋に至る北海道93号知床公園線のさらに先、知床大橋からルシャの海岸まで通じる知床林道の橋、知床第二大橋である。通称、硫黄山橋と呼ばれる。現在はヒグマが出没するため、カムイワッカ湯の滝より先は一般人立入禁止となっている。

ルシャ湾に入るといきなり風が強くなる。ルシャ下ろしという。海岸には漁のための番屋がいくつか見えてくる。「ルシャ」とはアイヌ語で「浜へ降りて行く道」という意味。秋になると大漁のサケやマスが遡上してくるが、その魚を求めてヒグマがよく顔を出す場所でもある。

ルシャの海岸のこの辺りにはヒグマが多く出るというので、船は近づいて行くがなかなかヒグマの姿が確認できない。残念ながら今日はどうも姿を表さないようだ。クルーズ船の帰りは沖合いを急いで戻った。

ウトロでの夕食は知床・網走をはじめとする海鮮料理が主体。まずは時鮭と鮫鰈のお造りに、エゾ鮑・桜鱒・油鰈の前菜。

こちらも知床の魚を代表するキンキの酒蒸し。高級魚のためめったに食べないが、油が乗っていて塩焼きよりも酒蒸しの方が美味しい。

こちらは北海道名産のホエー豚の和風煮込み。このほかにカニ入りふわふわ茶碗蒸しなどがあり、ビールや日本酒とともに味わうと、知床に来てよかったとしみじみ感じる。