半坪ビオトープの日記

羅臼、相泊温泉、国後島


ウトロから知床横断道路で羅臼に向かう途中、知床峠を越えるが雨が降っていたのでそのまま通過した。峠からは天気が良ければ羅臼岳国後島を望むことができるのだが。羅臼の街外れ、海抜167mの高台にある望郷の森の一角に、国後展望塔がある。

眼下に羅臼漁港や羅臼市街を一望でき、約25km先には国後島が眺望できる。冬の流氷やイカ釣り船の漁火、日の出なども楽しめて、羅臼八景の一つに選ばれている。雨で羅臼漁港の一部しか見えなかったが、施設内では北方領土問題の歴史や北方四島との交流の資料やこのような写真を見ることができる。

「道の駅知床らうす」では、海鮮料理の店や海産物を扱う売店がある。羅臼産のトキシラズ(時鮭)、カジカ、メンメ(キンキ)、カワガレイ、ドスイカ、イバラガニ、イバラモエビなど珍しい魚介類を間近にみることができる。

「この先道なし」の行き止まりは相泊の集落だが、その手前の瀬石集落にセセキの滝がある。車窓から眺めることができる日本最東端の滝で、落差は約30m。エゾマツ、トドマツが茂る断崖からしぶきを上げながら豪快に流れ落ちる。

滝壺の周りにはフキの大きな葉がたくさんあったが、近くにノコギリソウの花が咲いていた。北海道にはエゾノコギリソウ、シュムシュノコギリソウ、ノコギリソウの3種の在来種が自生しているが、これは鋸葉の切れ込みが非常に深く細かいので、残念ながら外来種セイヨウノコギリソウだった。

セセキの滝のすぐ先の右手の海岸にはセセキ温泉がある。波打ち際の岩に囲まれた温泉は、満潮時には海に没するという風変わりな露天風呂だが、残念ながら湯量が少なく湯温も低くて湯船に浸かることはできなかった。セセキとはアイヌ語で熱いという意味で、温泉に由来するという。入浴用の湯船の左手に高温の元湯があったことに気づかず、残念だった。

道路の終点にある相泊温泉は、海岸に湧く自噴泉で日本最東端の温泉である。

木枠で囲った湯船が二つあるだけの露天風呂だが、夏場だけベニヤ板やブルーシートで小屋がかかり男女別となる。

湯船に浸かると心地よい湯温だった。晴れていれば向かいに国後島が見えるはずだ。記録の上では、セセキ温泉とともに、1899年に堀内市太郎氏が温泉を見つけたという。

昼食は羅臼まで戻り、濱田商店の名物「日替わり海鮮丼」を頼んだ。エビ、カニ、ウニ、イクラ、ホタテなど知床の食の思い出を山盛りにした絶品だった。

昼食後、海岸に出ると、いつの間にか空が晴れ上がり、海の彼方には国後島の島影がようやく認められた。

国後島は、沖縄本島より大きく、長さは123kmにも及ぶ細長い島で、知床半島根室半島に囲まれた根室海峡に抱かれるような位置にある。

駐車場に生えていた桜の葉に大きな虫こぶがたくさんできていた。虫嫌いの人はぎょっとすると思うが、この鮮やかなピンク色の芋虫のようなものは、サクラハトサカフシ(桜葉鶏冠附子)という虫こぶ(虫癭、ちゅうえい、ゴール)で、サクラフシアブラムシ(Tuberocephalus sasakii)という虫の寄生によって、このエゾヤマザクラなどの桜の葉に形成される。この虫はアブラムシの一種で、枝に産み付けられた卵で越冬し、早春に孵化して葉裏に移り吸汁する。その刺激で虫こぶが形成される。幼虫は全て雌で、虫こぶの中で成長した後、虫こぶの中で全て雌の幼虫を生み始める。この雌の成虫が脱出し、ヨモギの葉裏で過ごした後、秋に桜に戻ってくる。成虫は2mmくらいである。