半坪ビオトープの日記

カムイワッカ湯の滝、知床五湖


翌日は朝から雨がしとしと降る天気。前日クルーズで海上から見た知床西海岸を車で進む。知床五湖の入り口を通り過ぎると砂利道となり、原生林の中の狭い道を数キロ進むと、行き止まりのカムイワッカ湯の滝に着く。

この先の道路はヒグマが出没するため通行禁止だが、湯の滝駐車場も狭く、8月には交通規制があって、知床五湖からはシャトルバス利用となる。この辺りはヒグマがよく見られるらしく、朝9時頃に着いたら「先ほどヒグマの親子がその先を歩いていましたよ」と、整理員が教えてくれた。橋のたもとからカムイワッカ川の渓流が見える。

カムイワッカ湯の滝は、標高400m、落差20mの渓流瀑であり、活火山の硫黄山を源流とするカムイワッカ川にかかる滝であり、滝自体が温泉となっている。カムイワッカとは、アイヌ語のkamuy(神、または神のような存在の意)、wakka(水の意)であり、この川の温泉成分が強い硫黄成分を含むため有毒であり、生物が生息できない「魔の水」の意味と解釈されている。この川がオホーツク海に流れ込む時の滝は、昨日見たカムイワッカの滝である。

滝は何段も連続し、かつてはどの湯壷にも入れたが、上流の高温によるやけどや落石の恐れが高まり、今では車道から100mほどの最初の小滝である通称「一の滝」より上流への立ち入りが禁止されている。この滝壺の湯温は約30度とぬるく、かつてのような秘湯の湯滝を楽しむことはできない。

一の滝まではサンダルで湯の川のゆるい傾斜を心地よく登っていけるが、下りは滑って尻餅をつきそうなので気をつける必要がある。

知床五湖に戻るとまだ大雨が降っていたが、土産物屋で雨宿りしているうちにようやく降り止んだ。広い駐車場からも羅臼岳や硫黄山などの知床連山が眺められるはずなのだが、残念ながら厚い雲に覆われている。

知床五湖は原生林の中に点在していて、遊歩道が整備されているが、ヒグマの活動時期には高架木道を歩いていける一湖しか見ることができない。二湖から五湖へ行く地上遊歩道は、ヒグマの対処法を習得した登録引率者のガイドツアーでしか入れず、事前予約と3時間が必要となる。また雨が降りそうなので、急いで高架木道を歩き出した。

人手の加わらない笹原が一面に広がる中、所々に湿地帯があって水生植物が認められる。

高架木道は、ヒグマが登らないよう高さが2〜4mもあり、電気柵も設けられている。片道800m、往復1.6kmで、天気がよければオホーツク海と知床連山が眺められる展望台が随所にある。段差がほとんどなく車椅子でも通行可能となっている。

三つ目の最終展望台が近づくと、一湖が姿を現わす。

最終展望台からは、羅臼岳や硫黄山などの知床連山の原生林の麓に位置する一湖が広がっている。湖面を飾る水生植物、ネムコウホネが黄色い花を咲かせている季節だが、遠くて確認できない。知床連山を覆う雲も下がってくる様子だ。

再び雨が降り出しそうになってきたので、急いで駐車場に戻った。