半坪ビオトープの日記

石炭・化石館、常磐自動車道


三箱山勝行院の500mほど東に「いわき市石炭・化石館ほるる」がある。ここでは炭鉱の歴史や仕組み、石炭の利用について紹介し、採掘道具、模擬坑道に加え、常磐線での石炭輸送に活躍したD51型蒸気機関車も展示している。

石炭・化石館の目玉は、なんといってもフタバサウルスである。いわき市の約8,500万年前の地層から昭和43年(1968)に高校生の鈴木直が発見したクビナガリュウの化石である。

これが新属新種のクビナガリュウであることが38年目にわかり、正式に「Futabasaurus Suzukii」という学名がつけられた。

クビナガリュウには首が短く頭が大きいタイプがあるが、フタバサウルスは首が長く頭が小さいタイプ。いわき市からは、フタバサウルスのほかにも首が短いタイプのイワキリュウや、海トカゲのモササウルスなど海に住んでいた大型爬虫類の化石も多数発見されている。これがイワキリュウの化石である。

実物の恐竜・海竜・翼竜の迫力ある全身骨格復元展示は、見るものを太古の世界へ引きずり込む。中央の体の長さのおよそ半分が首という特異な姿はマメンチサウルスで、全長22mの巨大草食恐竜である。その右下には、フタバサウルスと同じクビナガリュウの仲間のプリオサウルスの標本がある。首が短く頭が大きいタイプのロシア産の化石である。その下には巨大なアンモナイトいわき市産のメソプゾシアが展示されている。

こちらは巨大なナマケモノアメリカ大陸に住んでいたエレモテリウムである。太古の世界には体長4mにもおよぶ超大型哺乳類が生きていた証拠である。

最大の肉食恐竜、ティラノサウルスの頭や、3本の角と大きなえり飾りを持つ草食恐竜、トリケラトプスも迫力満点である。

石炭・化石館には、常磐炭田125年の歴史を辿りながら炭鉱体験できる模擬坑道がある。地下600mに降りる雰囲気を味わいながら入坑した坑内には、実際と同じ木枠が組まれ、各ステージでは人形を使って古い順から採炭状況の移り変わりが再現されている。これは安政3年(1856)頃の狸掘りの場面である。

こちらは明治5年(1872)頃の手ハンマーにより孔を操る切羽の場面である。

徐々に掘削機械が進歩していく様子が再現されていく。生活館では、昭和10年頃の炭住や戦後の世話所・共同炊事場を復元。また、いわき湯本温泉郷の歴史なども展示している。

東日本大震災以来、今年の3月1日に常磐自動車道のうち最後に開通したのは、常磐富岡ICと浪江IC間の14.3kmである。今なお放射能汚染による帰還困難区域を含むエリアである。この周辺39.4km間に、9箇所も放射線量モニターが設置されているが、やはり浪江に近い地区を通過する際に、放射線量が急激に増えるのがわかる。避難指示区域全体を通過する際の運転手等の1回通過あたりでの被ばく線量は、常磐道が0.37μSv(マイクロシーベルト)で、原発に近い国道6号では1.2μSvと3倍以上である。

1回通過するだけの被ばく線量が少なくても、帰還困難区域を中心に放射線量の数値が高まるのを目にすると、やはり帰還困難区域での生活は長期間にわたって不可能であることが実感できる。浪江地区あたりでは全く人の姿は見えず、荒れ果てた農家や農地の無残な姿だけが広がる。この夜泊まった宿で働いていた若い中居さんは、浪江地区から着の身着のままで逃げてから、まだ一度も自宅に帰ることができないと涙ながらに訴えていたが、なんとも酷いことである。安全神話が全く嘘だったことがわかった今でも、懲りずに原発再稼働を企てる政府を許すわけにはいかない。