半坪ビオトープの日記

永明寺、鐘楼、書院


墓地に向かい合った境内の右側に、永明寺の本堂などの建物が石垣の塀に囲まれて集まっている。中央の中朱雀門の向こうに茅葺きの本堂が構え、右には鐘楼、庫裡、書院へと連なっている。

二層の鐘楼(しゅうろう)は、庫裡などとともに安政6年(1859)に再建されたものである。

鐘楼の屋根には禅宗寺院でよく使われる扇垂木が用いられ、組物もしっかりして格式がある。屋根瓦には「石州瓦」が使われている。鐘楼が拝観の入口となっていて庫裡へと向かう。

庫裡へ向かう回廊には、禅宗寺院でよく見かける、口に珠をくわえた大きな魚梆(開梆、魚鼓、魚板ともいう)と雲板が吊るされている。

回廊の斜め先には本堂が見えるが、真正面には中庭を挟んで淡島堂が建っている。淡島明神を祀っている。

庫裡の入り口も質素そのものといった風情がある。

庫裡と本堂との間から振り返ると、庫裡の軒先に回廊が設けられているのがわかる。

庫裡の奥には書院が続いていて、掛け軸や屏風が備えられ、襖には山水の水墨画が描かれている。

この部屋は、永明寺の藩主御成りの間である。津和野藩主の亀井侯が永明寺参詣の折に使用した部屋で、この書院から眺める庭園がとても風情がある。

こちらの板戸に描かれているのはなんだろうか。右には牛か馬に乗った武者らしき姿があり、中央には木から飛びかかろうとする獣の姿がある。画題は不明である。

こちらの板戸には白モクレンの花に鳥が描かれ、三浦紫畹が安永元年(1772)から翌年の間に描いたとメモが貼られている。

三浦紫畹は花鳥画を得意とする津和野藩の御用絵師として知られ、島根県の各所に作品が残されている。こちらは白鷺と白梅であろう。