半坪ビオトープの日記

薬師殿、経蔵


鐘楼堂から八角五重塔の裏手に回ると、大本坊が建っている。戦災で焼失し、同時に大本堂も失ったため、一部改造・荘厳を施して大本堂再建まで仮本堂として使用された。

大本坊には、主に職員や僧侶が所属する事務所が存在する。廊下の途中には稚児大師が祀られており、一般信徒でも観ることができる。

大本坊の右隣には信徒会館が建ち、その前に先ほども眺めた不動堂が建っている。元は明治23年の創建であった。堂内には成田山新勝寺の本尊不動明王の分躰が勧請・奉安されている。

大本坊の左手に進むと、つるの池があって、やすらぎ橋が架かっている。

やすらぎ橋を渡ると金色の釈迦如来像が安置されている。つるの池は釈迦が沐浴した尼蓮禅河を表し、周りの樹木は悟りを開いたウルビルバーの森を表現している。釈迦如来像の背景に見える薬師殿の塔屋がブダガヤの大塔に準えられ、釈迦が成道した情景を想起することができるという。

釈迦如来像の先を回り込むと大きな薬師殿が建っている。薬師殿は、当山開創880年記念として平成20年に落慶した。堂内には薬師瑠璃光如来尊像、それを信仰する人々を守る武神である十二神将が奉安されている。

また、右手前には薬師瑠璃光如来の分身・なで薬師が奉祀され、撫でることにより身体安全・病気平癒が祈念できる。

境内を一通り回って大本堂前に戻ると、左手に経蔵が建っているのに気づいた。平成16年大開帳奉修記念として落慶した。

経蔵には、中国最後の木版大蔵経といわれる「乾隆版大蔵経」7240巻が収蔵されている。本尊である説法釈迦如来の手前には巨大な五鈷杵が安置されている。

経蔵の天井には、韓国人間国宝・李萬奉による「双龍」が、その周りには仏画家・染川英輔による「飛天」図が荘厳されている。
経蔵の落慶により、川崎大師には七堂伽藍が整い、戦後復興が完了したといわれる。