半坪ビオトープの日記

岩木山下山


岩木山安山岩で構成されており、頂上部に直径800mの破壊された火口があり、それを埋めて現在の山頂ドームなどが生じた。側火山が3個あり、山頂部や山腹斜面に多数の爆裂火口がある。山頂北東側の赤倉沢の馬蹄型火口は大規模な山体崩壊の跡で、北東山麓の岩屑なだれ堆積物には多数の流山地形がある。江戸時代に水蒸気爆発の噴火が数回あるが、近年では、昭和53年の噴気活動のほかは目立った活動はない。

山頂には木造平屋建ての避難小屋がある。板敷部のみで収容人数は10人ほど、休憩所を兼ねている。昭和62年に有志の寄付金で立て替えられている。避難小屋の左隣には、比較的新しいバイオトイレの建物が建っている。男女別で、用を足した後、自転車のペダルを漕がねばならない無電源の足踏み式トイレである。

岩木山を下り始めたところで、花が咲き終わっているマルバシモツケ(Spiraea betulifolia)を見かけた。北海道、本州中北部の亜高山帯〜高山帯の岩礫地やハイマツ帯の林縁などに生える落葉低木で、高さは50~100cmになる。葉は互生し、楕円形〜倒卵形で先は丸く、縁には重鋸歯がある。枝先に複散房状に花序をつくり白色の5弁花を多数咲かせる。

頂上直下の第二おみ坂も短いが急である。タイムカプセルのある平坦部と向こうの鳥海山の間からは霧が吹き上げている。はるか右下には、8合目の駐車場が垣間見える。

第二おみ坂を下って振り返ると、薄曇りの中だったはずの山頂が晴れ渡っている。

岩がゴロゴロした急坂の第一おみ坂は、登りより下りが難しい。足をひねらないように慎重に下る。真下の鳳鳴ヒュッテの先にある大倉岩の大きさがよく見てとれる。

岩の割れ目に花が終わったツガザクラを見つけた。岩木山では紅紫色の花を咲かせるエゾノツガザクラと白花のナガバツガザクラが知られているが、どちらも葉の長さは1cm前後だが、湿り気のある岩場や草地に生えるエゾノツガザクラと違って岩礫地に生えているので、ナガバツガザクラ(phyllodoce nipponica ssp. tsugifolia)であろう。北海道、東北地方の鳥海山栗駒山を結ぶ線より北の高山帯の礫地、岩壁などに生える常緑小低木で、高さは10~20cmになる。

大倉岩を過ぎると向こうにリフト乗場が見える。あと一息だが、鳥ノ海噴火口の鞍部までさらに下らなければならない。

ようやくリフト乗場まで戻ってきた。岩木山はまた雲がかかっている。

リフト乗場の近くで、ミヤマシシウド(Angelica pubescens var. matsumurae)の花を見かけた。本州の中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地や礫地に生える多年草で、高さは50~150cmになる。葉は2〜3回3出複葉。複散形花序は大型で直径10〜20cm。白色の小花を多数つける。

岩木スカイラインを下って、麓の嶽温泉にある山のホテルで名物のマタギ飯を食べる。

3年前にここで泊まって食べたが、マタギ飯とは山菜入りの炊き込みご飯で、きじ肉、舞茸、竹の子、ごぼう、人参、三つ葉、糸こんにゃくの七種の具を入れた釜飯を炊き上げていて美味しい。