半坪ビオトープの日記

大沼公園


日光国立公園塩原地区は、七十余の滝が流れ落ちる箒川の渓谷と、高原火山の森林山岳景観、豊富な温泉に恵まれ、多種多様な遊歩道、自然観光スポットを廻って散策を十分楽しめることができる。
奥塩原新湯地区から塩原渓谷に抜ける塩原自然研究路も、数多い散策コースの一つで、大沼公園から新湯富士(1184m)往復を目指して公園駐車場に着いた。

なかなか見つからなかった登山口は、駐車場から道路を少し北に進んだ左側にあった。左に登山道らしい道があるものの、あまり整備されていない様子。「スズメバチ注意」や「熊出没注意」の立て札を見て、今日も雷雨の予想だと思い出し、新湯富士に登ることを簡単に諦め、大沼一周散策に切り替えた。

駐車場に戻る途中で、マタタビ(Actinidia polygama)の花を見つけた。日本全国の山地に生える落葉つる性植物。葉は互生し、長さ約10cmの卵円形で先がやや尖る。花期には枝先の葉が純白になって遠くからでもよく目立つ。6〜7月、葉腋に芳香のある白い5弁の花が咲く。花は直径約2cmで、雄花、雌花、両性花がある。果実は長さ約3cmの長楕円形で先が尖る。花の姿は同じマタタビ属のキウィフルーツ(A. chinensis)とそっくりであり、枝や実を与えると猫が狂喜してじゃれる。

大沼は、ミズナラやハルニレ等の天然広葉樹に囲まれた湖沼で、園地や大沼を一周する遊歩道からは、森林・湿原・湖沼といった多様な自然を観察できる。東に向かうと笹の生えた小山があり、その裾の遊歩道を進む。

すぐにしっかりとした休憩所が建っていて、そこからヨシが群生する湿地帯を見晴らすことができる。

大沼周辺は天然記念物のモリアオガエルの生息地として知られ、6月頃には水辺の樹木の枝に産卵した卵塊を見ることができるという。ヨシの群落の合間に沼の水がところどころに見える。

春先にはズミやミズバショウの白い花やザゼンソウも見られるという。

大沼の森は、「日本森林浴百選」に選ばれ、また「とちぎの景勝100選」にも選ばれている。バリアフリーの木道を1.8km歩いて一周することができるというが、整備が行き届かないためか途中で水没しているのが残念であった。

西を振り返ってみると、新湯富士が湿原の先に聳えていて、可愛らしい秀麗な山姿を見せている。この瑞々しい景観を味わえてよかったが、富士山には雲がかかり始め雨が少し降ってきた。