半坪ビオトープの日記

巌門、鷹の巣岩


和倉温泉のひなびた宿に泊まった翌朝、七尾湾の屏風瀬戸に架かる能登島大橋を渡ってみた。振り返ると、石川県で最も長いという橋の彼方の右手に和倉温泉街が見える。

戻って西に向かい、外浦と呼ばれる能登半島西海岸を、福浦港から北上する。奇岩、奇勝、断崖が約30kmにわたって連続する能登金剛の名勝、巌門を見下ろす展望台が、ロードパーク女の浦という食事処の前にある。巌門の洞窟・洞門の左手、南の入り江に高さ27mの鷹の巣岩が聳えている。この日はかなり海が荒れていたが、かえって波が砕ける光景が迫力ある。

巌門を海から見る遊覧船は、レストラン巌門下と、のと金剛センター下の2ヶ所の船着き場から出航するのだが、海が荒れていて残念ながらとても出航できるような状態ではなかった。向こうに見える半島状の岬は、猪の鼻と呼ばれる。

レストラン下には波が大きく打ち寄せていて、船着き場に近づくこともできない。

岩場に下る薄暗い道端に、テンナンショウ属の花が独特な姿で咲いていた。花といっても花弁のように見えるのは、水芭蕉と同じように仏炎苞と呼ばれるもので、これが包み込む棒状の肉穂花序の下部に本当の小さな花は隠れている。偽茎がマムシの柄に似るためマムシグサと呼ばれることが多い。とにかくテンナンショウ属の仲間は種類が多く、よく似ていて見分けがつき難い。緑色の仏炎苞が葉より飛び出て、葉が2枚、小葉が5〜14枚もあるので、日本全国に生えるコウライテンナンショウ(Arisaema peninsulae)と思われる。

こちらの木陰には、白くて小さな5弁の花が咲いている。セリ科のヤブニンジン(Osmorhiza aristata)という。和名は、薮に生え、葉がニンジンの葉に似ることによる。細長い果実が掌状に広がる。

薮を抜け出て海が見える明るい草地に出ると、ニガナ属の黄色い花が咲いていた。日本全土に普通に生える多年草で、オオジシバリ(Ixeris debilis)という。葉が円形で小さいジシバリより花は大きく、葉の形も細長い。

崖の上に戻って海伝いに南に向かって進むと、眼下に広い岩場が見えた。海はますます荒れてきたように感じる。

日当りのよい松林を進むと、風変わりな形をした「幸せのがんもん橋」が架けられている。松本清張推理小説ゼロの焦点」の暗いイメージと、自殺者が多かったイメージを払拭しようと名付けられたという。長さは39m、海上からの高さは30mある。