半坪ビオトープの日記

新高湯温泉


白布湯元駅からロープウェイの右手奥にあるダートの坂を上って行くと新高湯温泉にたどり着く。姥湯温泉、大平温泉などとともに米沢八湯の一つである新高湯温泉は、西吾妻山山麓の秘湯として標高1,126mの山奥にある源泉源流の温泉宿である。

文政4年(1821)発見、明治14年(1881)開湯、明治35年(1902)開宿と、古くから地元の人々に知られた湯治場であった。今では大木のくり抜き風呂がたくさんあることで知られる。これは貸切大樹風呂である。濁り具合が気まぐれな濁り湯で、大きいのでゆったり浸かれる。

敷地内には露天風呂もたくさんある。一番奥の滝見露天風呂は、最上川源流の「白金の滝」の滝壺の横に岩をくみ上げた露天風呂で、季節限定だが月を見ながら浸かるのも興がある。

一番下手にある眺望露天風呂は、米沢藩町割りの目印とされた兜山を正面に見据える、開放感あふれる露天風呂である。

眺望露天風呂の手前右手にある根っこ風呂は、樹齢約250年という栗の木のくり抜き風呂である。

縦横2種の根っこ風呂が並んでいて、ちょっと狭いが一味変わった露天風呂を堪能できる。

内湯は総ヒノキ風呂で、硫酸塩温泉の源泉掛け流しと、落着いた雰囲気でのんびりできる。ほかにも女性専用の大岩タヌキ風呂という露天風呂があり、早朝に男性タイムもあるので、誰でも様々な風呂を楽しむことができる。

翌朝、米沢へ向う道脇にいくつか花が咲いていた。この白くて長い穂状の花は、サラシナショウマ(Cimicifuga simplex)である。北海道から九州の山野の落葉樹林内や草原などに生える多年草で、高さは40~150cmになる。茎先に総状花序を出し、柄のある白い小花を密につける。花期は8〜10月。和名は晒菜升麻。晒菜とは、若菜をゆでて水で晒して食べることによる。根茎は、升麻という漢方の生薬とされ、解熱、解毒、抗炎症作用がある。

青紫色の小さな花を多数咲かせているのは、カメバヒキオコシ(Plectranthus kameba)である。本州の東北地方南部から関東、中部地方の山地の林の中などに生える多年草で、高さは60~90cmになる。葉は対生し卵円形で、先端が3裂して中央裂片が長く、この葉の形が亀の尾に似るため亀葉と呼ばれる。茎先に円錐花序を出し、唇形花を多数つける。花期は8〜10月。引き起こしの名の由来は、昔、空海が山地を歩いていると修験者が倒れていた。空海がそばに生えていたヒキオコシの葉の絞り汁を修験者の口に含ませたところ、たちまち元気になり、起き上がって修行に向ったという。地上部を乾燥させた生薬は、健胃薬とされる。若芽や柔らかい茎を塩茹でして冷水に晒し、胡麻和え、辛子マヨネーズなどで食べることができる。また、冬に冷え込みが厳しくなると、氷の花(霜柱)が見られることで知られる。

こちらの淡紫色の花は、ナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)である。北海道から九州の山の道端などに生える1年草で、高さは30~60cmになる。花期は9~10月。枝先に5~10cmの花穂を出す。花穂には花が一方向にだけナギナタ状につく。全体に香り(臭気)があり、アイヌは「エント」と呼び、乾燥させて煮出したものを茶のように飲用していたという。