半坪ビオトープの日記

芦安温泉


急な上り一方の岩殿山では汗だくになったので、早めにひと風呂浴びたく甲府盆地の西、南アルプス市の芦安温泉に向かった。

南アルプス白鳳渓谷の入口、夜叉神峠の麓に位置する芦安温泉は、釜無川の支流、御勅使川(みだいがわ)に架かる真っ赤な瀬戸大橋の向かいにある、岩園館の前後にいくつかの宿が散在する。橋の脇で水を落している「芦安堰堤」は、セメントを使用した堰堤としては日本で最初の砂防堰堤で、国の登録有形文化財に指定されている。

温泉は源泉掛け流しで、大岩露天風呂は開放的で木々の緑に囲まれてゆったりと寛ぐことができる。

芦安温泉から夜叉神峠に向かってまもなく、南アルプス芦安山岳館が建っている。山岳文化の発掘・継承、自然保護や安全登山の普及、南アルプスや芦安地域の自然などの紹介をしている。

興味を引くのは、道祖神や民話にまつわる史跡などの文化財マップである。

山岳館の近くで、アジサイHydrangea macrophylla)の花を見つけた。アジサイには多くの品種があり区別が難しい。このアジサイは野生とすれば、関東以西に自生するヤマアジサイ(H.m. var. acuminata)であるが、園芸品種のガクアジサイ(H.m. form. normalis)に酷似しているともいえる。どちらにしても色がとても鮮やかである。

山岳館の脇で、イタドリ(Polygonum cuspidatum)の花が咲いていた。日本全土の山野のいたる所に生える多年草で、高さは0.5m〜1.5mになる。茎は太く中空で、葉は互生し、長さ6〜15cmの卵形〜広卵形で先は急に尖る。雌雄異株で、花被は5裂する。雄花には雄しべが8個あり雌しべは小さい。雌花には3個の花柱があり雄しべは極小さい。花期は7〜10月。雄株と雌株では花穂の出方が違う。上に伸びるのが雄株で、垂れ下がるのが雌株である。天にも届こうと勢いよく上に伸びている雄株の姿は清々しい。

帰りがけの道端で、タマアジサイHydrangea involucrata)の花を見つけた。福島県、関東地方、中部地方の山地の谷川沿いに生える落葉低木で、高さは1〜2mになる。8〜9月、枝先に散房花序を出し、小さな両性花多数を白い装飾花が取り巻く。和名は、開花前の蕾が球形であることに由来する。