半坪ビオトープの日記

エイコの沢上流


ようやく緑岳(2,019m)の山頂部に近づいてきた。登山道の右脇には稜線から始まる急斜面の雪渓が残っている。

緑岳の右手彼方に見える山稜は、緑岳に隠れて見えない小泉岳(2,158m)の尾根および東岳(2,067m)と思われる。

エイコの沢の最上流部であり、ここから始まるエイコの沢川はヤンベタップ川と合流して石狩川の支流の一つとなっていく。

登山道の左手にはアキタフキ(Petasites japonicus var. giganteus)が大きな葉を広げ、雌花の茎は伸びて白い冠毛のある種子を飛ばす寸前である。その先には、ウコンウツギが黄色い花を咲かせている。

足下の草むらにトカチフウロ(Geranium erianthum f. pallescens)が咲いていた。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の広葉草原に生えるチシマフウロの1品種で、高さは30~50cmになる。主として大雪山系および日高山脈に見られ、チシマフウロの淡紅紫色に対して、トカチフウロでは白色に近い淡青紫色である。

こちらの岩陰にはヤマハハコ(Anaphalis margaritacea)が咲いている。北海道と本州中部地方以北の山地帯〜高山帯の乾いた草地に生える多年草で、高さは30~70mになる。花期は8〜9月で、茎の上部に淡黄色の頭花を散房状につける。白く花びらに見えるのは総苞片である。
その周りの5弁の白い花は、コウメバチソウ(Parnassia palustris var. tenuis)である。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の湿った礫地や草地などに生える多年草で、高さは5~20cmになる。

ウメバチソウは、ウメバチソウの高山型の変種であり、北海道には両種のほかにもエゾウメバチソウという種もある。仮雄しべの数で区分けするのだが、判定が難しいので、一回り小さいコウメバチソウとする。

ほかにもウラジロナナカマドやアキタフキの脇に、黄色のミヤマアキノキリンソウやタカネトウウチソウ、チシマアザミなども咲いていた。

こちらの木陰に咲いている花は、コバノイチヤクソウである。北海道にはイチヤクソウの仲間が数種あって区分けが難しい。白色で小形のコバノイチヤクソウの特徴とは、花は2~7個がまばらにつき、花径が12~15mmで、花柱が突き出て湾曲することである。