半坪ビオトープの日記

地獄谷の噴気孔


旭岳は標高2,291mで北海道の最高峰だが、一般に北海道の2,000m級の山は本州の3,000m級の山に匹敵するといわれる。8月上旬でもこれだけの残雪があったのだから、9月19日の初冠雪の時にも残っていただろうと思われる。まさに万年雪である。10月も半ばになると、姿見駅辺りでも50cmの積雪があって辺り一面雪景色であるという。

姿見の池の斜面にも残雪が消えたばかりのところに、ピンク色の絨毯に見えるコエゾツガザクラがぎっしりと集まって咲いている。

こちらの日当りのよい斜面には、イワブクロ(Pennellianthus frutescens)の群生があった。北海道と東北地方の亜高山帯〜高山帯に生える多年草で、高さは10~20cmになる。花期は6〜8月で、5片に裂けた釣鐘型の合弁花を咲かせる。花の長さは4cmほどで、草丈に比べると大型で見栄えがする。

近くにはメアカンキンバイが咲いていた。メアカンとは道東の雌阿寒岳に由来するが、大雪山や十勝連峰、羊蹄山など北海道の特産である。キンバイ(金梅)系の中では、灰色がかった緑色の葉の形が、3つの小葉に分かれているのが特徴で見分けやすい。

あらためて姿見の池を眺めると、快晴の青空よりも色濃い吸い込まれるような紺碧の池の美しさに見ほれてしまう。「深さは底なし」との伝説が永年語り継がれていたが、近年の実測調査で最深部でもたったの4.5mと判明したそうだ。

姿見の池の左(北)に、今でも噴煙を激しく噴出している地獄谷の噴気孔がある。
広大な大雪山の生い立ちは、今から約100万年前に活発化した火山活動により大雪山の基盤と呼ばれる高根ヶ原や永山岳・赤岳周辺が誕生した。その後、数十万年かけて現在ある大雪山連峰の山々が次々と誕生したが、中でも今から約3万年前のお鉢平中央火山の大爆発が層雲峡をつくるなど景観をすっかり変えた。その後、時間をかけて川が浸食して現在の地形となった。

大雪山の中で最も新しい火山はこの旭岳で、今から約2万年前に誕生し、約600年前に噴火したのを最後に目立った火山活動はしていない。

そのときの水蒸気爆発で山頂の西側が崩れ、この地獄谷ができたという。この噴気活動は、好天時には旭川市内でも見られ、硫黄を含んだ噴煙の噴気孔近くの温度は200℃に達するところもあるそうだ。