半坪ビオトープの日記

山頂間近


ヒノキの葉のような風変わりな茎葉の間から白い花を咲かせているのは、イワヒゲ(Cassiope lycopodioides)である。北海道と本州中部地方以北の高山帯の岩隙や礫地に生える常緑小低木で、地を這ってよく分枝し、高さは5~10cmになる。花冠は約8mmの壷状鐘形で、浅く5裂して反り返る。このように花冠が短くて球形になる品種をマルバナイワヒゲ(C. l. f. globularis)という。

青いミヤマリンドウの左の白い花は、キレハノハクサンボウフウ(Peucedanum multivittatum f. dissectum)である。母種のハクサンボウフウと同じ地域に分布するが、葉が細かく切れ込み、小葉は披針形〜狭卵形で鋸歯も深い。

ようやく上富良野岳の山頂が目の前に迫ってきた。あと少しだが、急坂なのでゆっくり進む。

ここにもヨツバシオガマの大株があった。かなり高くなって咲いているが、あとで見かけることになるハッコウダシオガマとはいえないようだ。

この辺りにはイワギキョウの花がたくさん咲いているが、周りの細かい杉の葉のような植物は、ガンコウラン(Empetrum nigrum var. japonicum)という。北海道と本州中部地方以北の亜高山帯〜高山帯のハイマツ林の林縁、雪田付近の砂礫地などに生える雌雄異株の常緑小低木で、地を這ってマット状に広がる。小さな花は目立たず、左下に茶色く見えるのは花後の姿であろう。

上ホロカメットク山も間近に見えるようになった。左に遠望する十勝岳のすぐ右手前のうす茶色の頂は、縦走路上の中継点で大砲岩という。

上富良野岳の頂上直下の斜面には高山植物がたくさん咲いているので、立ち入り禁止のロープが張られている。

淡いピンク色のコエゾツガザクラに混じって、緑白色のアオノツガザクラ(Phyllodoce aleutica)も多くなってきた。アオノツガザクラは、北海道と本州中部地方以北の高山帯の草地や岩礫地に生える常緑小低木で、しばしば雪田周辺にカーペット状のみごとな群落をつくる。ピンク色のエゾノツガザクラと様々な段階の雑種をつくるが、代表的なコエゾツガザクラは、北海道中央高地、夕張山地、日高山脈に多く分布する。