半坪ビオトープの日記

八ツ手岩


化物岩より高いところに着くと、その右の三段山が大きく見えてくる。低木林のハイマツもかなり低くなってきた。

ハイマツの蔭にスノキ属のコケモモ(Vaccinium vitis-idaea var. minus)の実がたくさんなっていた。コケモモは、北海道と本州中部地方以北、四国の亜高山帯〜高山帯の林縁、草地、岩礫地に生える常緑小低木で、高さは5~15cmになる。紅色から白色の筒状花が終わると、径6mmほどの赤い液果が熟す。
細長い葉が輪生しているのはイソツツジで、右下には細長くて小さい多数の果実が認められる。

ようやくD尾根の稜線にたどり着いた。左手には大爆裂火口である安政火口の深い谷と、その向こうに秀麗な十勝岳(2,077m)の姿が初めて認められた。右手には黒いギザギザの八ツ手岩と、その後ろに上ホロカメットク山(1,920m)が重なるように見えた。

雄大な景色に見とれてしばし立ち止まっていたら、ヤマキマダラヒカゲ(Neope niphonica)がTシャツに止まった。汗の匂いに誘われたのだろう。日本全国の山地に分布するが、北海道では平地にも産する。

八ツ手岩の右手に上富良野岳(1,893m)も見えてきた。あとわずかだが、上富良野岳の頂上手前には最後の急坂が待っている。

足下でまとまっているイワギキョウを見つけた。分布域もほぼ同じで、姿がよく似たチシマギキョウには、花冠の内面に毛があるが、イワギキョウの花冠には毛はない。

ツガザクラの葉の間から黄色の花を咲かせているのは、オトギリソウ属のハイオトギリ(Hypericum kamtschaticum)である。北海道の亜高山帯〜高山帯の草地や岩礫地に生える多年草で、高さは15~40cmになる。葉は対生し、広楕円形で、基部はなかば茎を抱く。茎先に直径2.5~3cmの黄色の花を1個〜数個つける。子房とほぼ同じ長さの3本の花柱の周りを多数の雄しべが取り囲んでいる様はよく目立つ。

三峰山(1,866m)も随分間近に迫ってきたが、雲が大きくなってきたのが気にかかる。