上富良野岳の頂上直下で右手の富良野岳方面を見ると、北側斜面には見渡す限り白いチングルマと淡いピンク色の小さなコエゾツガザクラのお花畑が広がっていた。
左手にはイソツツジの群落が満開である。左手前のチングルマは、すっかり花が終わってうす茶色の羽毛を風になびかせている。
こちらでは先ほどまばらに見かけたイワヒゲが、固まって咲いていた。こちらのイワヒゲは、花冠が丸くなくやや細長いので、先ほどのマルバナイワヒゲではなく、本来のイワヒゲである。それにしても、これだけまとまって咲いているのは滅多に見かけないものだ。
延々と歩いてきたD尾根を見下ろすほど上り詰めると、安政の爆裂火口の上に聳える三段山(1,748m)より高みに来たことが実感できる。富良野から旭川方面には雲がたくさん湧いているが、その雲の上に立っているわけだ。
尾根の上に出ると富良野岳(1,912m)から三峰山(1,866m)を越えてこちらに続く縦走路もよく見える。もう少し体力と気力があれば富良野岳まで縦走できて、さぞや面白いだろうと思うが、ここから無事下山できるか覚束ないので無理はできない。
ようやく上富良野岳(1,893m)頂上にたどり着いた。遠くに見える十勝岳(2,077m)へはまだ2時間もかかるので元々計画にはないが、右手前のあと20分の上ホロカメットク山(1,920m)まで何とか行けるだろうか。
三段山の崩落斜面は、見るからにひどい有様で、登山道が進入禁止になっているのもうなずける。
上ホロカメットク山との標高差は30mほどだが、一度少し下りてから登ることになる。右手の斜面はお花畑のようなので、とりあえず向うことにした。