半坪ビオトープの日記

上ホロカメットク山へ


上富良野岳から緩い降りを下りきると今度は緩い上りとなる。上ホロカメットク山への道は展望が開けていて、しばしの間だけだが縦走路の爽快さを感じ取れる。

周りに広がるハイマツの間にはミヤマアキノキリンソウの黄色の花やチングルマの羽毛が見られ、遥か彼方には草原が広がる。

足下のエゾウサギギクの花には、コヒオドシ(Aglais urticae)がやってきて忙しく吸蜜している。北海道と本州中部地方の高山に生息する高山蝶で、北アジアやヨーロッパアルプスにも分布している。

こちらの小さな黄色の花は、メアカンキンバイ(Potentilla miyabei)であろう。北海道の羅臼岳斜里岳雌阿寒岳、中央高地、羊蹄山などの砂礫地に特産する多年草で、高さは2~10cmになる。灰色がかった緑色の葉は、3出複葉で先端が大きく3裂する。黄色い花は、径約1.5cmで、花弁は広倒卵形で先は丸い。

右手の草原には見渡す限りのお花畑が広がっているが、黄色いエゾウサギギクのほかはチングルマの羽毛など花後の姿がほとんどである。東南向きの斜面で雪解けが最も早かったからだろう。遠くには境山(1,837m)から下ホロカメットク山(1,668m)へとなだらかな山並みが連なっているのが見える。そちらには登山道がなく人跡未踏である。

チングルマをアップしてみると、花柱が伸びて羽毛状になっているのだが、花茎もかなり伸びていることが分かる。青いミヤマリンドウに囲まれている長い茶色の実は、キバナシャクナゲ(Rhododendron aureum)の花後の蒴果(さくか)である。キバナシャクナゲは、ほとんど6〜7月に咲いてしまうので、8月上旬ではなかなか見ることができない。

足下で小さなバッタが動いた。ダイセツタカネフキバッタ(Zubovskya parvula)である。氷河期に北方から来たといわれ、北海道の道央以北の高山のみに生息する。体長25mmほどの雌である。

こちらの実はガンコウランの実で、径8mmほどの黒い液果は食べることができ、とても美味しいのでジャムにする人もいる。

頂上間近の斜面にもコケモモの実がなっている。食べられるが酸味が強いため、通常は砂糖などを加えて調理し、ジャムやコンポート、ジュース、シロップとして利用される。