半坪ビオトープの日記

安政火口


道端でひっそりとイソツツジ(Ledum palustre ssp. diversipilosum)が咲いていた。北海道と東北地方の亜高山帯〜高山帯の湿地やハイマツ林の林縁に生える常緑小低木で、高さは30~70cmになる。枝先に花径1cmほどの白い花を散房状に咲かせる。群生することが多い。

こちらの白い小花は、マルバシモツケ(Spiraea betulifolia)である。北海道、関東地方北部以北、白山の亜高山帯〜高山帯の岩礫地やハイマツ林の林縁に生える落葉低木で、高さは約1.2mになる。互生する葉は、長さ3cmほどの楕円形〜倒卵形で先は丸い。枝先に直径5~8mmの白い花を複散房状に多数開く。花弁は5個で円形、雄しべは多数あり花弁より長い。

こちらの花は、オンタデ(Pleuropteropyrum weyrichii var. alpinum)である。北海道の大雪山と本州の中部地方以北に分布する。ウラジロタデの変種といわれ、厳密には葉の裏を比較するとよい。

次第に低木林がなくなり、視界が開けてきて、右手には広い沢が見えるようになるが、水の流れは見えない。安政火口が源流のこの川は、ヌッカクシ富良野川という。

左手には三段山の山肌が見える。安政火口に近づいたせいか、山肌はかなり荒れている。

夫婦岩の右手に白い煙が見える。それが安政火口である。ここらで右手のヌッカクシ富良野川を渡る。

小さな沢を渡りきるといよいよ本格的な山登りの道になる。まずは化物岩の右手の尾根に向い、気を引き締めて一歩一歩登り始める。

10分ほど上って振り返ると、三段山の一番右手の山裾にある安政火口からの噴煙がよく見える。活火山である十勝岳は、過去2000年にしばしば噴火し、幕末の探検家松浦武四郎が視認した安政4年(1857)以来だけで5回の大噴火が記録されている。大正15年(1926)には144名、昭和37年(1962)には4名の死者不明者がでている。ただし、現在でも噴煙活動が盛んな大正火口や昭和火口は、三段山や十勝岳の北側にある。