半坪ビオトープの日記

六所神社


大多喜駅の北西2kmほどの水田の脇に六所神社がある。目の前に目立つ仁王門が建っているが、その左に進むと六所神社の鳥居がひそかに建っている。薄暗い石段の奥にかすかに社殿が見える。

昼猶暗き参道を上り詰めると、境内の奥に拝殿が見える。六所神社の草創沿革については明らかではないが、ここにはかつて泉水寺という大寺院があったので、その鎮守社と考えられている。

本殿は、3間社流造であったが、現在は後補の拝殿・幣殿と併せて権現造の様式となっている。正面3間、側面2間、屋根は当初は茅葺であったが昭和39年に鉄板瓦棒葺に、平成5年に茅葺形銅板葺に改修された。全体を白木造りとし、軸部の組物は和様三斗とし、中備に本蟇股を置き、向拝と主屋を水平の虹梁で繋ぎ、柱上には連三斗を置き、中備を間斗束とするなど、純和様でまとめられた珍しい神社建徳である。

建築年代は、柱・組物・本蟇股の様式から室町時代前期と考えられ、千葉県で最も古い神社建築である。大きな妻飾りの大波をモチーフにした意匠はきわめて特異である。手前の三つの懸魚の中心にある五葉の意匠も珍しい。妻飾りとしての懸魚(げぎょ)は、もともと木造寺社を火災から守るために、水に縁のある魚を懸けて「水をかける」火伏せのまじないとしたのが始まりで、水の流れや波を意匠化している。

中備の本蟇股の透し彫りの意匠は、宝珠を中心にした独特な唐草模様である。

社殿の右隣の虚空蔵堂との間に小さな末社が祀られている。

六所神社の右隣には虚空蔵堂が建っているが、その登り口に大きな仁王門が建っている。
3間1戸の入母屋造の八脚門で、昭和47年に茅葺屋根から銅板葺きに改修されているが、江戸時代の初期の特色が見られる。

長い石段を上り詰めると、虚空蔵菩薩像を保管する虚空蔵堂がある。

虚空蔵菩薩像が、もと大山祇神社本地仏とされていたのは、神仏習合修験道と関係があったためという。

ここに安置されている木造虚空蔵菩薩座像は、像高152cmのカヤの寄木造で、彫法がきわめて古く、平安時代後期の作と推定され、県の有形文化財に指定されている。昭和46年に解体修理されている。
堂内には、不動明王、四天王や羅漢の一部などの諸仏も並べられている。