半坪ビオトープの日記

大多喜町、蔵精


徳川四天王の一人・本多忠勝大多喜藩初代藩主として造り上げた城下町の面影が、大多喜町には今でも色濃く残っている。町中には国の重文を含む歴史的な建物が数多く保存されている。
明治7年に建てられたこの庄屋造りの建物は、国の登録有形文化財に指定されている。

江戸天明年間(1781-89)に創業した豊乃鶴酒造という造り酒屋であり、さわやかで淡麗な味わいの銘酒「大多喜城」の醸造元である。

赤煉瓦の煙突が目印だが、通りに面して店を構えていないで酒造入口に酒を並べているだけである。

主力銘柄は、「大多喜城」のほかにも創業の地名を命名した「銭神」がある。とりあえず「大多喜城」を買い求めて土産とした。

大多喜町での昼食は、野菜にこだわった自然食の店、蔵精(くらしょう)を選び予約しておいた。

味噌、醤油、酢など蔵に住む天然菌で造られた発酵調味料を取り入れて、無農薬・無肥料の自然栽培の野菜をふんだんに使っている。
こじんまりした店内もさりげなく飾られ、落着いた雰囲気が漂っている。

春の息吹という季節の御膳から、酒のつまみともなる一の膳を抜いた本膳(2000)を頼む。
小鉢に野菜の粕煮、野菜の炊き合わせ、ふきのとう・たらの芽・菊芋の天ぷら、かぶら蒸しに、口直しの葱翁漬け、土鍋炊きの自然栽培玄米ご飯、天然麹菌自然栽培味噌入りみそ汁と香の物、まさに自然栽培の野菜づくしである。卵・乳製品・上白糖・動物性食品は使わない究極の野菜料理。電子レンジ、アルミ、テフロン樹脂加工の調理器具も使わず、素材の持ち味を大切にした自然食料理に、心も身体も喜ぶ料理を提供するのだという生真面目な料理哲学を感じる。
天然干し柿酵母自然発酵ビールや、昔造りの日本酒もいろいろ取り揃えているので、美味しい食材でゆっくり酒も飲みたい気もするが、大多喜町は遠すぎるし、温泉もないので泊まることはないのが残念である。また通りかかることがあれば、ぜひとも寄りたい店である。