半坪ビオトープの日記


乗鞍高原を越えて夕方の激しい雷雨の中を白骨温泉まで下って泊まった翌日、乗鞍高原まで戻ってバスに乗換え、ようやく乗鞍岳畳平(2702m)に着いた。バスターミナル前の駐車場は広く、乗鞍神社本宮の中之社や宿泊施設などが建っている。

前日の雨の名残かガスがかかっていて、せっかくの乗鞍登山も出鼻をくじかれる感じだ。ガスのかかる一番近い北の魔王岳(2764m)には15分ほどで登れるが、南に向かって剣が峰山頂に向かう。
魔王岳は、昔、円空上人が魔物を岩に閉じ込めた山と伝えられている。

畳平のバスターミナルからお花畑に向かって階段を下りはじめると、すぐさま残雪と高山植物が見られた。黄色いミヤマキンポウゲ(Ranunculus acris ssp. subcorymbosus var. nipponicus)の群落の中からコバイケイソウ(Veratrum stamineum)が一株だけ白い花穂を咲かせている。

50mも下ると道は平らになり、左手には黄色のミヤマキンポウゲから白いモミジカラマツ(Trautvetteria caroliniensis var. japonica)の群落が始まる。モミジカラマツは、北海道と中部以北の亜高山帯から高山帯の湿った草地に生える多年草で、日本のほか千島、サハリン、ウスリーなどにも分布する。群落の中に所々ミヤマクロユリ(Fritillaria camtschatcensis ssp. alpina)が顔を出している。

モミジカラマツの群落に、こんどは赤いヨツバシオガマ(Pedicularis chamissonis var. japonica)が混ざってくる。バスで訪れることができるところで、これほど近くにお花畑があるのは乗鞍だけであろう。
天気が悪くてもここならば、簡単に高山植物を楽しむことができる。
右手に分岐すると、お花畑はさらに広がっているが、剣が峰山頂に向かうためここは後回しにして真っすぐ進む。

道が登りに変わりなおも進むと、黄色の小花を咲かせるミヤマアキノキリンソウ(Solidago virga-aurea ssp. leiocarpa f. japonalpestris)とウサギギク(Arnica unalaschcensis var. tschonoskyi)がたくさん咲いていた。