半坪ビオトープの日記


登山道のまわりには白や赤や黄色の花がたくさん咲いているので、ゆっくり歩きながらどんな花か確かめていくことにする。

一番目につく白くて大きい花は、キンポウゲ科イチリンソウ属のハクサンイチゲ(白山一花、Anemone narcissiflora var. japonica)である。中部地方から東北地方の高山帯の草地に生える多年草で、高さは20〜50cmになる、日本固有種である。雪が溶けると乾燥がちなところでは大群落をつくるので、お花畑の代表種である。茎葉は深裂し、花弁のように見える白い萼片は5〜7枚ある。

次に大きな群落をつくっている黄色の花は、キンポウゲ科キンバイソウ属のシナノキンバイ信濃金梅、Trollius riederianus var. japonicus)である。北海道と中部地方以北の亜高山帯〜高山帯の草地に生え、朝鮮にも分布する。高さは20〜70cmになり、花弁のように見える黄色の萼片は5〜7枚ある。花は直径3〜4cmで、花期は7〜8月である。ハクサンイチゲよりは湿ったお花畑でよく見かける。

赤い筒形の花は、尾瀬ケ原でも見かけたイワウメ科イワカガミ属のコイワカガミ(Schizocodon soldanelloides f. alpinus)である。イワカガミの仲間は低山から高山まで幅広く見られ、地域により形態が少しずつ違うので区別はつけにくい。イワカガミの高山型といわれるコイワカガミは、雪田周辺に多く生育する。

千畳敷カールを振り返ってみると、遊歩道もよく見えるようになり、先ほどより高度を増しているのがよく分かる。

剣岳の左手にある極楽平の高さにも近づいてきた。