半坪ビオトープの日記


茨城県立歴史館は、県の歴史に関する資料を収集・保存・公開している。常設展は、県内の歴史を民俗・考古・古代・中世・近代の各部門に分け、豊富な資料やジオラマ、映像などを使って展示・紹介している。
特に興味を引くのは、東日本で最も鮮やかな装飾古墳である虎塚古墳(レプリカ)、貝塚を作るダイダラボウの巨人伝説などの「常陸風土記」や、中世の「平将門の乱」のコーナーだろう。だが常設展だけでも見所が多くゆっくりとすべてを見ることはできない。

肖像画の魅力」と題して開かれていた特別展では、徳川斉昭像など茨城ゆかりの人物の肖像を中心に「歴史(とき)を見つめた眼差し」の副題のもと、肖像画制作の技法を分析・紹介している。
夢窓国師頂相(ちんぞう)など禅宗の高僧の肖像画が出発点だろうが、珍しいものとしては、日本最古の自画像といわれる、室町時代末期の雪村自画像が興味深かった。雪村周継は、現在の常陸大宮市に佐竹氏の一族の長男として生まれ、夢窓疎石を開山とする正宗寺に入って禅僧の修行を積んだ画僧である。

広い敷地内には本館のほかに、移築された江戸時代の農家建築や明治時代の洋風校舎がある。この旧水海道小学校本館は、明治14年(1881)に建築された洋風校舎で、昭和48年にここに移築された時、当初の姿に復元されている。建物中央に突出している玄関部(軒出し)の円柱の頭部が鏡餅のようになっている。2階バルコニーの雲形飾り下がり壁、3階鼓楼の八角形の屋根など文明開化の息吹を感じさせる印象的な設計である。設計・建築したのは、水海道の宮大工で棟梁の羽田甚蔵である。

歴史館の敷地には明治32年(1899)から昭和45年まで茨城県立水戸農業高等学校があった。この建物は旧校舎本館を復元したもので、木造瓦葺平屋建である。玄関は武家屋敷を思わせる造りになっている。