半坪ビオトープの日記


深い森を抜けると芝生の広場が見えてくる。人影もまばらの憩いの場らしく、あちこちで家族連れや若いカップルがのんびりとひなたぼっこをしている。

広々とした広場に面して宝物殿の入口がある。宝物殿には、明治天皇昭憲皇太后ゆかりの御物が収蔵・展示されている。

宝物殿は、大正10年に竣工された校倉風大床造りで、日本の初期鉄筋コンクリート建築の代表的な建物であり、和洋折衷を試みた花崗岩張りが施されて堅牢優美を誇っている。宝物殿を設計したのは、寺社建築に秀でた大江新太郎である。今年になって、中倉、東西倉、東西廊・橋廊・渡廊など13棟が、近代和風建築として国の重文に指定された。建物全体の配置は、平安時代寝殿造りを参考にしている。

中心の中倉には、日常使用の机・文房具や、装束・儀装馬車、その他の調度品などが展示されている。なかでも歴代天皇肖像画を一通り見てみると、女性天皇が8人10代と、かなりいることに気づく。最後の女性天皇は、第117代の後桜町天皇(在位1762~70)である。

宝物殿の前から北参道口に向かう芝生の上でも、ひなたぼっこの若者がくつろいでいる。細長い北池の向こうには、百年近くほとんど人の入らなかった鬱蒼とした森が、あらゆる雑念を吸い取ってしまうように暗闇を抱えている。

代々木駅に近い北参道入口も人影がまばらである。宝物殿に行くには、この鳥居の手前を右に進んでいく。