半坪ビオトープの日記


上田市街地の南西に広がる数キロ四方の肥沃な盆地を「塩田平」と呼ぶ。いちばん奥が常楽寺安楽寺がある別所温泉だが、塩田平の南にそびえる独鈷山(1266m)のふもとには、中禅寺、龍光院、前山寺や、塩野神社、王子神社などの神社仏閣が並んでいる。

茅葺のこのお堂は、中部日本で最も古い建物である中禅寺薬師堂(重文)という。東西南北どちらから見ても柱が四本立っている「方三間の阿弥陀堂形式」で、平泉の中尊寺金色堂と同じ建てかたである。真上から見ると真四角に見える「宝形造り」という。

本尊は寄木造りの薬師如来座像で、平安時代末期の「定朝様」の代表作として重要文化財に指定されている。右手は「施無畏の印」、左手は「与願の印」で、手のひらに薬の壺をのせている。

右隣の小さな手なし神将も重文である。普通は十二神将として薬師如来につき従い、信者を護る役目をするのだが、残念ながら一体しか残っていない。

仁王門には極めて古い二王像がにらみを利かせている。全国的に数少ない平安末期造像の金剛力士像で、小振りだが全体のバランスがよい。