半坪ビオトープの日記


八角三重塔で知られる安楽寺は、常楽寺と同じ平安初期の天長年間に開かれたと伝えられている古寺である。
1253年、日本初の禅の専門道場として開かれた、鎌倉の建長寺とも深い関係があり、「建長寺は鎌倉で、安楽寺は塩田で、多くの僧が修行し、仏教の中心となっている」と記されている。

長野県には国宝の指定を受けている建物が五つあるが、第一に指定を受けたのがこの安楽寺八角三重塔である。普通の塔は四角形だが、八角形の塔は全国にこの塔一つだけである。
一見、四重塔に見えるが、正確には「裳階(もこし)付三重塔」という。縁や手摺がなく、屋根を支える垂木が扇の骨のように放射状に外側に出ていて、珍しい純粋の禅宗様式建築といわれる。

中国の塔は八角が普通だが、古代日本には八角の塔の記録はあっても現存していない。また、禅宗の本尊はふつう釈迦如来なのだが、内部にはなぜか大日如来が座っている。

安楽寺の本堂の後ろにある伝芳堂には、開山・二世頂相(ちんそう=禅宗の僧の像)がある。右が開山の樵谷惟仙、左が寺の二世で中国生まれの幼牛恵仁。鎌倉時代の名彫刻の一つとして、重要文化財に指定されている。

この門は、安楽寺の山門で、黒門と通称されている。