半坪ビオトープの日記


早くも職場の裏庭でスイセン水仙)が咲きだした。最も大衆的なスイセン(ナルキッスス)属のニホンズイセン(Narcissus tazetta var. chinensis) で、フサザキスイセン(タゼッタ)の変種である。
地中海沿岸が原産で、かなり古くにペルシアから中国を経て渡来したとされる。越前海岸の六十ヘクタール、淡路島の五百万本という自生地からすると日本原産といいたいところだが、「万葉集」や平安文学にはその名が見えない。
室町時代の漢和辞書「下字集」で、漢名水仙華、和名雪中華とあるのが初出とされる。明らかに水仙の名は中国に由来するが、唐代に水仙の名はなく捺祇(ないぎ)といい、古いペルシア語のナルギと対応する。
それはまたギリシア語のナルキッソスにつながり、ギリシア神話の水辺に散ったナルシスと結びつくという(湯浅浩史)。
下の写真は職場近くの東福寺門前のニホンズイセン。例年に比べ咲く花が少ない。