半坪ビオトープの日記

アケビ(通草)

先日、赤塚植物園でアケビの花が咲いているのを見かけた。山野に生え、長さ8cm前後の少し彎曲した短い瓜に似た実を吊り下げ、秋になると淡紫色に熟す形と色が好まれるアケビ。果皮が縦に裂けて中から白いワタを覗かせる。中に無数にある黒い種子の周りを包んだ白いワタは素朴な甘さで、秋の山歩きの楽しみの一つだ。この果皮はやや苦味があるが、油炒めにして食べるとなかなか珍味で、以前我が家の庭に植えていたときには毎年楽しんだものだ。
本州以南の日本及び朝鮮、中国に自生する落葉のつる性木本。つるは左巻きで細長く全株無毛。葉は互生で掌状複葉、小葉は5枚あり長楕円形で全縁。4月に芳香のある淡紫色の花を総状につける。雄花は花序の先に数個つき、直径1cmで雄しべは6個。雌しべは花序の基部に1〜3個つき、雄花より大きく柄も長く、雌しべは3〜9個。雌雄同株だが、ひと株では実つきが悪い。他株より交配するとよく結実する。雄しべは熟すと灰色の花粉を出す。それをふるい落として採取し、粘り気のある雌しべの先端につけるだけでよい。
アケビアケビ属で、学名は Akebia quinata と、珍しく科名に日本語が採用されているように日本特産といえよう。類似種に日本全国に自生する、小葉が3枚のミツバアケビと、両種の雑種で小葉が3〜5枚のゴヨウアケビがある。漢名は野木瓜。つるはかご細工にするほか、木部には配糖体アケビンを含んで、木通(もくつう)と呼ばれ、利尿剤とされる。