半坪ビオトープの日記

コブシ

コブシは街中ではモクレンより早く咲き、今年も3月初旬には咲き始めていたが、まだ咲いているのを見つけた。
コブシは日本特産といわれ、学名は Magnolia kobus と和名が用いられている。漢字では辛夷と書くが、それは誤りだと牧野富太郎は指摘している。モクレンは中国原産で漢字で辛夷とか木筆と書くが、日本特産のコブシに中国の辛夷の字があてられるはずはない、と。日本特産とはいえ、韓国の済州島にも自生している。
北海道から九州までの山地に生え、高さ5〜18mになる。3月から枝先に直径6〜10cmの香りのよい白い花を咲かせる。花の下に若葉が1個つくのが特徴。花弁はへら状の6片で、基部は紅色を帯びる。寒さに強く東北地方に多い。小枝の先ごとにぽっかりとした大きな花を元気よく咲かせた姿は壮観で、山の中で出会うととてもうれしくなる。
樹皮、芽、花は薬用あるいは香辛料となり、香りを香水の原料にも使う。蕾をとり、篭に入れて陰干しした後、粉末にして飲むと鼻炎、頭痛などに効くといわれる。材は建築、家具、楽器に用いられる。モクレン属の接木の台木にも利用される。
サクラに先駆けて咲き、春の訪れを知らせる花となっていて、この花がたくさん咲くとその年は豊作の兆しといわれる。別名、ヤマアララギ、コブシハジカミ。開花が田打ちの時期なので田打ち桜ともいう。コブシとは、蕾の形が赤ん坊の「拳(こぶし)」に似ることに由来するという。