半坪ビオトープの日記

フユボタン

冬休みに名古屋の徳川美術館の前で、菰囲いされたボタン属のフユボタン(冬牡丹、Paeonia suffruticosa var. hiberniflora) を見かけた。属名は、ギリシア神話の医の神「Paeon」の名に由来する。種名は、「亜低木状の」を意味し、変種名は、「冬咲きの」を示している。
一般には、冬牡丹とも寒牡丹とも区別せずに呼ぶことが多いが、厳密に言うとボタンの咲かせ方に多少の違いがあるといわれる。
まず、ボタンの園芸品種は、中国ボタン、西洋ボタン、日本ボタンと分けられ、さらに関西ボタン、新潟ボタン、島根ボタンなどと育成された場所により区別されたり、花形や花色により区別されたりする。また開花期から分類して、春咲き群、早咲き群、冬咲き群、晩咲き群(種間雑種)とも分けられる。
寒牡丹とは、二季咲きで春と冬に咲くボタンの、冬に茎頂に咲くボタンをいう。早春に下枝に咲く蕾を摘み取ったり、夏に葉をもぎ取ったりするので葉がない場合が多く、樹勢が弱まり花が小さくなる。
冬牡丹とは、春咲き種を温度管理で早めに咲かせたもので、露地栽培は難しいといわれている。しかし、葉がほとんどない寒牡丹は見たことがないので、厳密な区別は不要でどちらの名で呼んでもよいと思う。
「百花殿」は二季咲き種とされるが、花はかなり大きかった。小さな花には「花遊仙」と名札が付いていた。どちらも淡い桃色の花を、寒空の中で健気に咲かせていた。
そのあたり ほのとぬくしや 寒ぼたん (高浜虚子