半坪ビオトープの日記

雄国沼遊歩道

タテヤマリンドウ

雄国沼にはニッコウキスゲレンゲツツジの他にも多くの花が咲いている。ワタスゲタテヤマリンドウ6月初旬が見頃のようだが、まだあちこちで咲いている。タテヤマリンドウGentiana thunbergia var. minor)は、ハルリンドウの高山型変種で、本州中部以北と北海道の高山の湿地に生える二年草。花は陽が当たっている時だけ開き、曇天・雨天時は閉じる。花茎の先に一つ小さな淡青紫色の花をつける。

ホロムイイチゴ

木道の近くで珍しいイチゴを見つけた。普通のイチゴは3小葉だが、このイチゴの葉は掌状である。キイチゴ属のホロムイイチゴ(Rubus chamaemorus)という多年草。本州北部と北海道、千島やサハリンなどに分布する。ホロムイとは、北海道の「幌向」という地名に由来する。尾瀬には自生せず、雄国沼が南限という。葉は掌状に5〜7裂し、分枝のない茎に互生する。花は茎の先端に単独で生じ、花後、赤い果実が実る。北ヨーロッパでは果実を生食するほか、ジャム、ジュースなどに加工する。

ヒオドシチョウ

木道に美しいヒオドシチョウ(Nymphalis xanthomelas)が止まった。日本各地の山地や平地に生息し、主にエノキを食樹とする。花にはほとんど集まらず、樹液や腐果を好む。和名は、戦国時代の武具「緋縅」からつけられた。翅面はオレンジ色を基調に華麗だが、翅裏は地味で目立たない。他にもアサギマダラやヒョウモンチョウが飛んでいたが、蝶の種類はそれほど多くはなかった。

ニッコウキスゲ

ニッコウキスゲHemerocallis middendorffii var. esculenta)は、変種名esculentaが「食用の」という意味で、同属のヤブカンゾウなどとともに食用とされた。新芽を食べると、ヤブカンゾウより甘いという。尾瀬の大江湿原、日光霧降高原など多くの群生地が知られるが、東北地方北部や北海道では海岸沿いの平地に普通に生えている。地方により変異があり、北海道のものはエゾゼンテイカという。

コバイケイソウ

少しだけだが、コバイケイソウVeratrum stamineum)が花を咲かせていた。本州中部以北と北海道の高山や深山の湿地に生える大型の多年草で、高さは1mにもなる。花茎の先端部は両性花である。有毒であり、全草にアルカロイド系の毒成分を持ち、誤食すると嘔吐や痙攣を起こし、重篤な場合死に至る。若芽は山菜のオオバギボウシノカンゾウの葉に似て、誤食による食中毒が毎年発生している。

ナナカマド

こんな湿原にもナナカマド(Sorbus commixta)の花が咲いていた。普通はかなりの高木になるが、高山では低木にもなる。

ヒオウギアヤメ

こちらの菖蒲は、ヒオウギアヤメIris setosa)という多年草。本州中部地方以北と北海道の高層湿原等に生える。和名は、葉の出方が檜扇に似ることに由来する。花は一日花で、朝開いて夕方には萎む。

アマドコロ

雄国沼の遊歩道は木道を敷いた湿原から離れて、休憩舎に向かって林の中を北に進む。途中、道端でアマドコロの花が咲いているのを見つけた。アマドコロ(Polygonatum odoratum var. pluriflorum)は、日本全国の山野に生える多年草で、和名は、地下茎がヤマノイモ科のトコロに似て、甘みがあることによる。春の若芽や地下茎には甘みがあり、山菜として食用にされる。漢方では滋養強壮剤として、かつては民間薬で利用された。似た姿の植物にナルコユリやユキザサ、ホウチャクソウがあるが、ホウチャクソウは有毒なので注意が必要である。

ササバギンランとツクバネソウ

ユキザサに似たこの花は、キンラン属のササバギンランCephalanthera longibracteata)という多年草。日本全国の山地の樹林下に自生する。茎は直立し約40cmになり、花序より葉が高くなる。葉が細長く笹の葉に似る。花は上を向くが、あまり開かない。左後ろの草は、エンレイソウに似るが、葉の枚数が3枚ではなく、よく見ると4枚なのでツクバネソウ(Paris tetraphylla)であることがわかる。日本全国の深山の林内に生える多年草。元々目立たない緑色の花を咲かすのだが、これは花後の姿である。

サラサドウダン

こちらの花は、サラサドウダン(Enkianthus campanulatus)という落葉低木。日本固有種で、北海道西南部、本州全域、四国の徳島県に分布し、深山の岩地に生育する。枝先に鐘型の花を総状に多数吊り下げる。和名は、花に紅色の筋が入り、更紗模様に似ていることに由来する。別名、フウリンツツジとも呼ばれる。

ベコ石

休憩舎の前にはベコ石という大きな石があり、その先に雄国沼が僅かに垣間見られたが、休憩舎までの遊歩道で雄国沼を見ることができなかったのは予想外だった。団体で休憩舎を使う場合を除き、ここまで歩くよりは雄国沼の木道をゆっくり回る方がよいと思う。

ウマノアシガタ

こちらの黄色の花は、キンポウゲ属のウマノアシガタRanunculus japonicus)という多年草。日本各地の山野に生え、花弁は5枚で金色のように光沢がある。馬の足形とは、掌状の根生葉を馬の蹄に見立てたもの。有毒植物なので注意が必要である。

コマユミ

こちらの目立たない花を咲かせている木は、ニシキギEuonymus alatus)という落葉低木である。日本各地の山野に普通に生え、秋の紅葉が美しいので庭木としてもよく植えられている。枝にコルク質の翼が発達するのが特徴。葉腋から柄のある集散花序を出し、淡緑色の花を数個開く。花弁は4個、雄蕊は4個、雌蕊は1個、萼は4裂する。ただし、葉や花がそっくりで、枝にコルク質の翼が発達しない品種をコマミユ(f. ciliatodentatus)というので、確認できない以上、コマユミとするしかないだろう。

オニアザミ

こちらのアザミは、オニアザミCirsium nipponense)という多年草。北陸から東北にかけての日本海側の山地の草原に自生する日本固有種。茎の高さは1mになる。葉は深く裂け、縁にある棘は鋭い。頭花は下向きにつき、花の色は紫色である。