半坪ビオトープの日記

三頭山ハイキング


4月中旬にいつもの遊び仲間と、東京都奥多摩の三頭山ハイキングに出かけた。都内とはいえ、新宿を朝早く出ても武蔵五日市からバスに乗り換え、終点の都民の森に着くまで2時間半以上かかった。桧原村数馬の集落の先にある都民の森のバス停から、拠点となる森林館に向かう道端に、トキワイカリソウ(Epimedium sempervirens)が植えられていた。北陸から山陰地方にかけての日本海側の山地に自生する多年草で、花色は北陸では白色が多く、山陰では紅紫色が多い。

桧原村数馬にある都民の森は、標高1000mから1500mの山岳公園で、三頭山東麓の200haに及ぶ敷地内に5つのゾーンに分かれたハイキングコースがある。全てのコースが森林館を起点とする
森林館は、研修棟、展示棟の2館あり、映像や写真で森の様子や森に住む動物を紹介している。右脇にはコブシ(Magnolia kobusu)の白い花が満開であった。

コブシと森林館の間を抜けて、ブナの道コースの大滝に向かう。道端にキケマン(Corydalis heterocarpa var. japonica)が筒状の黄色い花を咲かせていた。関東地方以西の低地に生える越年草である。

こちらの白いスミレは、ナガバノスミレサイシン(Viola bissetii)である。関東地方以西の太平洋側の山地に自生する。

よく整備された緩やかな道を進むと、紅紫色のツツジが咲いていた。関東・東海・近畿地方に自生するミツバツツジ(Rhododendron dilatatum)であろう。花は3枚の葉が開くより早く咲き、花だけが目立つ。

さらに気持ちよく広い道を進んでいくと、三頭大滝が左前方に垣間見えた。落差35mという滝は、まだ葉が開かない時期なのでなんとか見えたが、葉が茂る夏には手前の滝見橋から見る方がよいだろう。

野鳥の森コースを右に分けて、三頭沢沿いに進むブナの路コースは次第に高度を上げていく。登山道脇にヤマエンゴサク(Corydalis lineariloba)が青紫色の筒状の花を咲かせていた。本州から四国、九州の山野の林下に自生する多年草である。

沢を登りつめて尾根に出たところがムシカリ峠で、そこから右(北)に進んで急な木段を登りつめると三頭山の西峰(1524m)に出る。この山頂部は広く開けているので休憩する人が多い。

一度下った御堂峠の先にもう一度登ると、一番高い中央峰(1531m)となるが木に遮られて展望は利かない。

そのまま進むとまもなく、三角点のある東峰(1528m)となる。そのすぐ下に展望台があり、三頭山とともに奥多摩三山に数えられる、山頂がずんぐりした大岳山(1266.5m)とその左に山容が美しい御前山(1405m)が認められる。

展望台から先はずんずん下っていく。見晴小屋を過ぎ鞘口峠までひたすら下り終わると、森林館までは緩やかな道になる。道端には小さなコガネネコノメソウ(Chrysosplenium pilosum var. sphaerospermum)が黄色い花を咲かせていた。関東地方以西の山地の陰湿地に生える多年草である。

こちらの白い花は、花が1個なのでイチリンソウに見えるが、実はニリンソウ(Anemone flaccida)である。イチリンソウの花は4cmくらいで、ニリンソウの花は2cmくらいと小さい。花数もイチリンソウはもちろんほとんど1個だが2個のものもある。ニリンソウの花数は1から3個と幅があり、咲き始めは1個のことも多い。さらに葉の形もイチリンソウでは羽状に深裂するが、ニリンソウではこのように浅く切れ込む。なんとも分かりにくいが、葉の形からニリンソウと断定できる。

三頭山の後は、数馬の湯でゆったり汗を流した。都民の森のバスは本数が少ないので、電話1本で迎えに来てくれるのはありがたかった。